【電験3種】過去問使い回し(同じ問題)出題元分析【2024版】

電気主任技術者【第3種】

 電験3種は、令和4年度(2022年度)より過去問の使いまわしが始まり、令和5年度(2023年度)の上期・下期ではいずれも高い比率で使いまわしがありました。2023年度の過去問出題(使いまわし)について実績ベースで出題元年度や出題傾向について掘り下げて分析・解説します。

  1. 令和4年度より過去問使いまわしが始まった
  2. 令和6年度の使いまわし予測
  3. CBT方式における令和5年度下期試験の使いまわし
    1. CBT方式における過去問題使いまわし比率アンケート実施結果
    2. アンケート結果を踏まえたCBT方式の出題傾向分析
  4. 令和5年度(筆記方式)の過去問題使いまわし実績
  5. 【2023年度実績】使いまわし出題元となった年度分析
    1. 電験3種全体
    2. 理論科目について分析・考察
    3. 電力科目について分析・考察
    4. 機械科目について分析・考察
    5. 法規科目について分析・考察
  6. 令和5年度 筆記方式 出題された問題と過去問の対比
  7. 令和5年度下期試験 過去問との対比
    1. 【令和5年度下期】理論科目 18問/18問(100.0%)
    2. 【令和5年度下期】電力科目 13問/17問(76.5%)
    3. 【令和5年度下期】機械科目 15問/18問(83.3%)
    4. 【令和5年度下期】法規科目 12問/13問(92.3%)
  8. 令和5年度上期試験 過去問との対比
    1. 【令和5年度上期】理論科目 15問/18問(83.3%)
    2. 【令和5年度上期】電力科目 13問/17問(76.5%)
    3. 【令和5年度上期】機械科目 14問/18問(77.7%)
    4. 【令和5年度上期】法規科目 11問/13問(84.6%)
  9. 合格体験記のお願い

令和4年度より過去問使いまわしが始まった

 2022年度(令和4年度)より年2回の試験開催、2023年度からはCBT方式が導入されました。CBT導入により電験3種でも過去問の使いまわし比率が一気に高まったようです。2023年度は予想以上に高い比率となり、全体の約8割が過去問題の使いまわしをしています。

 今後ももうしばらくはこの傾向が続くと予想されます。2023年度出題実績を基に分析します。

 なお、CBT方式は問題公表されないため、分析できません。以下は「筆記試験」での出題結果についての比較となりますのでご了承ください。

令和6年度の使いまわし予測

 令和6年度も100%使いまわしがあります。これは、令和6年度の電験3種問題作成方針に次の記述があることからも明らかです。

  • 過去の出題からの試験問題構成を行う
電験3種 令和6年度問題作成方針より抜粋(左が令和6年度、右が令和5年度)

詳しくは次の記事にて細かくみていますので確認ください。

CBT方式における令和5年度下期試験の使いまわし

 令和5年度下期試験(令和6年2月1日~25日実施分)においても、過去問題の使いまわし実績があったようです。試験内容は口外してはいけないルールになっているので、受験者に出題内容を詳しく聞いたりネットに載せたりはできませんが、私の確認した範囲では今回のCBT方式においても、令和5年度上期の筆記方式と同様に過去問とまったく同じ問題が出ていることは間違いないようです。

CBT方式における過去問題使いまわし比率アンケート実施結果

 CBT方式は問題公表されないため正確なデータはありませんが、筆記方式同様に高めの比率で過去問題の使いまわしがあると想定されます。そこでCBT方式の受験者のみなさんに、過去問使いまわしの比率を「体感」でアンケートに答えてもらいました。(2024.2.13-3.30実施)

42件の回答のうち半数が「8割以上を使いまわしている」

という結果が得られました。

 【アンケート対象者】
  令和5年度下期試験(令和6年2月1日~25日実施分)受験者

【設問】CBT方式を受験した限り、「体感」でどの程度使いまわしを感じましたか?

アンケート結果を踏まえたCBT方式の出題傾向分析

 アンケートご協力大変ありがとうございました。アンケート結果を踏まえ、CBT方式の出題傾向についても分析してみました。

アンケート結果がとてもすごい結果でした。令和5年度下期試験のCBT方式の結果を踏まえると、令和5年度下期の筆記方式においても同じような傾向になると予想できました。結果、約89%が使いまわしとなりました。

令和5年度(筆記方式)の過去問題使いまわし実績

 ここから本題です。出題元の問題や過去問との比較については後に記載しますが、まずは各科目の過去問使いまわし比率を紹介します。トータルで80%以上が過去問と同じです。令和5年度下期は、上期よりも高い比率となりました。

 こうして見てみると、やり方次第では従来よりずいぶん簡単に合格できてしまう可能性があります。

 令和5年度上期試験令和5年度下期試験
使いまわし問題修正
(再掲)
出題数比率使いまわし問題修正
(再掲)
出題数比率
理論1501883.3%18018100.0%
電力1301776.5%1331776.5%
機械1411877.8%1521883.3%
法規1101384.6%1211392.3%
合計5316680.3%5866687.9%

※問題修正:類題ではなく、正解以外の選択肢を少しだけ修正された「ほぼ使いまわし」の問題です。このため、「使いまわし」の数に含めています。(丸暗記のやり方でも解けてしまう)
選択肢の並びや正解に変更はされておらず、正解以外の選択肢の表現がいじられているものを「問題修正」と定義して数えています。

使いまわし率も上がっていますが、問題をいじる率も上がっています。試行錯誤しているように見えます。令和6年度は、もっと問題を修正する可能性が高いと管理人は予想します。

【2023年度実績】使いまわし出題元となった年度分析

電験3種全体

 使いまわされた全111問を出題元となった年でグラフ化してみました。こうしてみると、全体的にバランスよく出題されています。極端に古いところからばかりではなく、至近10年からも持ってきています。さすがに前回(令和4年度)からは出題されていません。

 のちに述べますが、科目ごとには偏りがあります。いくらかヤマを張って勉強するならば下へ記載している科目毎の出題傾向を参考にしてください。

 まだ、使いまわしが本格的に始まってからは2回しか実績がないですが、試行錯誤が感じられます。一方で一定の傾向も見えます。データの上のことしか言えませんが全範囲を学習することが難しい場合には以下データを参考に多少狙いを絞ることも作戦の一つです。上期の傾向がある程度下期に当てはまっている科目もありました。

理論科目について分析・考察

 全体的にバランスよい。どちらかというと、古い方が出題比率が高いです。20年以上前は上期下期ともに低めです。10年前~20年前と10年以内の出題比率が上期と下期で入れ替わっています。1年前~20年前まで勉強する必要があります。

 理論科目は電気理論なので、新技術等はなく全体的にまんべんなくになっているように見えます。

電力科目について分析・考察

 昔から熟成された発電や送変電関連の分野に加え、再エネ等の新しい話題もあるので極端に古いところからは出題されず、20年前から最近までをバランスよく出題させていると思われます。ただ、新分野の出題数をそれほど増やすことはないと思います。上期、下期ともに10~20年前の出題比率が高いので、この区間を重点的に対策しておくことが有効と想定されます。

機械科目について分析・考察

 上期と下期でずいぶん出題傾向が変わり、分析しづらいです。括り方を変えて見ると「平成20年代」が多いと言えます。機械科目についてはそれほど新しい話題もないことから全体的にバランスよく出してくる可能性もありますが敢えてヤマを張るとしたら平成20年代と思います。平成20年~令和2年が狙い目に見えます。

法規科目について分析・考察

 さすがに法規なのであまり古いところからは持ってきていません。ほとんどが至近10年から持ってきている上に、上期・下期ともに同じ傾向なので至近10年の問題に取り組むことが有効と思われます。

令和5年度 筆記方式 出題された問題と過去問の対比

 令和5年度は上期試験・下期試験の2回の筆記方式の試験において、いずれも80%以上の過去問使いまわしがありました。ここからは、出題された問題と過去問の対比を載せておきます。

  • 選択肢の内容や並び順が本当に同じなのか
  • 問題修正はどんな内容なのか

を見て頂きたいと思います。

・上期試験:全問題を対比
・下期試験:全く同じ問題「以外」を対比

を載せます。上期試験分では、本当に同じ問題なのか確認ください。下期試験分では、どのように問題を変えてきているのか確認ください。

管理人
管理人

最近X(旧Twitter)を初めてみましたが一向にフォロワーが増えません・・・。閲覧者の多いこの記事でCMします。よかったらフォロワーになってください。ホームページ更新のお知らせ等をしてみます。何をポストしていいかはよく分からないけどとりあえずやってみています。

令和5年度下期試験 過去問との対比

 令和5年度下期試験は、本格的に使いまわしが始まって2回目です。

全く同じ問題「以外」の比較を載せます。

問題を少しいじっているのが6問に増えています。また、きちん修正をした問題もいくつか見られます。問題のいじり方に注目するとよいかと思います。

【令和5年度下期】理論科目 18問/18問(100.0%)

 全問過去問とまったく同じ(選択肢含め)です。

問題No出題元問題No出題元
問1平成25年度 問1問10平成28年度 問10
問2平成30年度 問1問11平成11年度 問3
問3令和3年度 問3問12平成23年度 問12
問4平成25年度 問4問13平成12年度 問7
問5令和元年度 問6問14平成30年度 問14
問6平成15年度 問5問15平成18年度 問15
問7平成20年度 問6問16令和3年度 問16
問8平成9年度 問8問17平成27年度 問16
問9平成8年度 問11問18平成24年度 問18

【令和5年度下期】電力科目 13問/17問(76.5%)

 電力科目は、過去問の「問題修正※1=ほぼ使いまわし」が3問と類題※23問が出題されています。

※1 問題修正:正解以外の選択肢が少し修正されているが選択肢Noは変更されていないし正解の選択肢も変更されていないので、丸暗記でも対応できる問題。

※2 類題:問題も選択肢も作り変えているので、丸暗記では対応できない問題。

過去問の修正の試行錯誤をしているように見えます。こういう修正が令和6年度以降もあると思うので傾向を掴んでおきたいところです。

問題修正は解答に影響のない範囲でいじるようです。

問題No出題元問題No出題元
問1平成24年度 問1問10新規
問2平成27年度 問15
平成19年度 問15
(類題)
問11平成15年度 問18
(問題修正)
問3平成9年度 問2問12平成18年度 問14
問4平成15年度 問4問13平成12年度 問10
(類題)
問5令和3年度 問6
(問題修正)
問14平成18年度 問11
問6平成29年度 問7問15平成14年度 問1
平成9年度 問11
(類題)
問7平成29年度 問13問16平成18年度 問17
問8平成20年度 問9
(問題修正)
問17平成19年度 問17
問9平成15年度 問9問18

【令和5年度下期】機械科目 15問/18問(83.3%)

 機械科目は問題修正2問です。過去問の類題は見当たりませんでした。問題修正は電力同様に解答に影響のない範囲で正解以外の選択肢を少しいじっています。

問題No出題元問題No出題元
問1令和元年度 問2問10平成29年度 問10
問2新規問11平成25年度 問10
問3令和元年度 問4
(問題修正)
問12平成29年度 問13
(問題修正)
問4新規問13平成7年度 問13
問5新規問14平成12年度 問11
問6平成13年度 問4問15平成16年度 問15
問7令和元年度 問7問16平成30年度 問16
問8平成9年度 問3問17平成30年度 問17
問9平成28年度 問8問18平成20年度 問17

【令和5年度下期】法規科目 12問/13問(92.3%)

 法規も問題修正のみです。1問だけです。電力・機械と同じように、解答に影響のない範囲で正解以外の選択肢を少しいじっています。

問題No出題元問題No出題元
問1平成28年度 問10問8平成28年度 問9
問2平成26年度 問4問9平成23年度 問9
問3平成10年度 問2問10平成27年度 問10
問4平成21年度 問6
(問題修正)
問11平成28年度 問13
問5平成30年度 問3問12令和元年度 問12
問6平成24年度 問7問13令和2年度 問11
問7新規

令和5年度上期試験 過去問との対比

 令和5年度上期試験は初めて本格的に問題使いまわしが始まった回です。

本当に同じなのか確認する意味で、全問題について過去問題との比較を載せます。

1問(機械科目)を除き、使いまわしの問題はまったく同じ(選択肢の並び順も含め)構成となっていることが分かります。問題をいじっている数も1問だけなので少ないです。

【令和5年度上期】理論科目 15問/18問(83.3%)

問題No出題元問題No出題元
問1平成21年度 問1問10平成16年度 問9
問2平成13年度 問2問11平成22年度 問11
問3平成10年度 問2問12平成17年度 問11
問4平成25年度 問3問13新規
問5平成25年度 問6問14平成15年度 問13
問6平成9年度 問5問15平成22年度 問15
問7新規問16新規
問8平成24年度 問7問17令和3年度 問17
問9平成14年度 問6問18平成28年度 問18

【令和5年度上期】電力科目 13問/17問(76.5%)

問題NO出題元問題NO出題元
問1新規問10平成10年度 問8
問2平成19年度 問3問11平成21年度 問8
問3平成15年度 問3問12平成26年度 問7
問4新規問13平成28年度 問6
問5平成24年度 問5問14平成15年度 問14
問6平成22年度 問12問15新規
問7令和3年度 問7問16平成16年度 問16
問8平成18年度 問9問17新規
問9令和元年度 問10

【令和5年度上期】機械科目 14問/18問(77.7%)

問題No出題元問題No出題元
問1平成24年度 問1問10令和2年度 問10
(類題)
問2平成29年度 問1問11平成20年度 問11
問3平成28年度 問3問12新規
問4平成16年度 問4問13平成18年度 問13
問5平成15年度 問5問14平成26年度 問14
問6新規問15新規
問7令和2年度 問7問16平成24年度 問15
問8平成24年度 問8問17新規
問9平成29年度 問8問18平成24年度 問18

【令和5年度上期】法規科目 11問/13問(84.6%)

問題No出題元問題No出題元
問1平成25年度 問1問8平成25年度 問3
問2新規問9令和3年度 問8
問3平成13年度 問1問10新規
問4平成18年度 問6問11平成26年度 問12
問5令和1年度 問4問12令和元年度 問13
問6平成28年度 問8問13平成30年度 問11
問7令和3年度 問9

合格体験記のお願い

 令和5年度下期試験が終わっています。受験されたみなさま大変お疲れ様でした。

管理人

電験3種に合格されましたら、ぜひ合格体験記を教えてください。私の中の情報は色々古く、令和版の学習法が知りたいです。少し面倒かもしれませんが、記録も兼ねて投稿いただけるとうれしいです。

コメント

  1. 匿名 より:

    これは素晴らしい分析です。

    受験したときに、あれこの問題どこかでみたことがある?と頭に浮かびました。

    受験前に知っていればもっと有利だったと思います。

    本当にありがとうございました。

    • 管理人 より:

      コメントをいただきありがとうございます。ホームページを移転して初の書き込みをいただきうれしく思います。移転に時間がかかっており、新しい記事を書くことができていませんが、移植作業が完了したら上のような新しい記事を作って発信していきたいと思っていますので、たまに覗いてください。

  2. でんけん王子 より:

    いつも参考にさせていただいております。

    • 管理人 より:

      コメントを頂戴し、ありがとうございます。移転作業もぜんぜん終わりませんがちょっとずつ新しい記事も書いていて、アクセス数が伸びてきています。こうしたコメントいただけますとモチベーションにつながります。引き続きよろしくお願いします。

  3. 匿名 より:

    非常に参考になる分析ありがとうございます。
    是非とも令和6年の上期・下期の分析も拝見したいです。
    気が向いたらよろしくお願いします。

    • 管理人 より:

      コメントありがとうございます。たった今、令和5年度(上期・下期)分析を完了して記事を修正し終えたところでした。さっそくのコメント頂戴してモチベーションにつながります。

      この記事、すごいアクセス数になったので、令和6年度もリアルタイムに分析していきたいと思います。よかったらまたぜひ見に来てください。
      古い方のホームページ移転もあと一息になってきたので、移転完了したらもっとたくさん新しい記事を書いていこうと思っています。引き続きよろしくお願いします。

  4. たけ より:

    大変有益な情報をありがとうございます。
    令和4年(上期下期共)の機械、理論の過去問使いまわし情報を探しています。
    どこかに載っておりますでしょうか。

    • 管理人 より:

      こんばんは。管理人です。
      ごめんなさい。令和4年度は確認していません。流用率はかなり低めのようです。「電験過去問データベース」で検索してみられると、過去問の大まかな問題の内容を確認することができますので、大雑把にはそれで突合せ作業をすることが可能です。可能性のあるものを抽出して実際の問題文と照らし合わせることで確認が可能となりますのでお時間があれば確認してみてください。

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