電気主任技術者試験(電験)合格基準点の調整について
過去の電気主任技術者試験(電験)の合格基準点は電気技術者試験センターのホームページで公表されます。出典元は電気技術者試験センタープレリリース資料から数値を抜粋して表にしています。
古い年度のプレス資料はもう公開されていないので、内容があっているかどうか確認する術はありませんが、 (電気技術者試験センターに問い合わせても60%以上ですとだけ言われ教えてくれません)参考でご覧になっていただければと思っています。
合格基準点は毎年調整(毎年平均点等から一定の合格率に近づくように調整していると思われる)がされており、60%より引き下げられることが多いです。 合格率がどれだけ高くなっても、60%を超えたことはありません。逆に60%では合格率が下がる(=平均点が低いと想定)と基準点を下げて一定の合格率になるように調整が入っていると思われます。
令和2年度の電験1種1次試験では、50%程度の高い合格率でしたが合格基準点はMAXの60%でした。難易度を下げすぎたのかもしれませんす。
電験3種では令和4年度下期以降は過去問の使いまわしが始まっており、令和5年度上期では80%が過去問と同じ(筆記方式実績)でした。問題使いまわし以降、合格率が例年の2倍近くになっています。当面、有資格者数の減少傾向(技術者不足)が続く見通しのため、今後もこの傾向が続くと予想されしばらくは受験者にとってありがたい時期が続くのではと思われます。
第3種電気主任技術者試験 公式の合格基準(合格ライン)
公式に公表されている合格ラインの考え方は次のとおりです。
「難易度等から調整する場合があります」
素直に読めば、「難しかったら合格基準を下げます」と都合よく読んでしまいますが、下げるとは書いていません。ひょっとしたら上がることもあるかもしれません。が、これまで一度も60点を超えたことはありませんので、60点を取れば安心だと思います。
【2024年4月4日追記】電気技術者試験センターへ問い合わせたところ、原則60点なので、上がることもあると言われました。電気工事士試験は64点だったことがあるそうです。
第3種電気主任技術者試験 問題作成方針に示された合格基準
受験案内ではなく、「第三種電気主任技術者試験に係る問題作成方針」次の記載がありました。(令和5年度に発表したものは令和6年度の試験のこと)
60点未満であっても、受験した問題の難易度を勘案して合格とする場合がある。
すごいはっきり書いてありました。
CBT方式における合格基準点
令和5年度上期からCBT方式が導入されていますが、本記事へ記載している合格基準はプレリリース資料に公表された「筆記方式」に限るものです。「CBT方式」の合格基準はプレリリース資料では公表されておらず、試験案内に「原則60点」の記載があるのみです。
CBT方式に関しての考察は以下の記事にまとめてあります。
アンケートのお願い
もしも、CBT方式で60点未満で合格された方がおられらた教えてください。
【電験3種】4科目合計の合格基準点と合格率
(注)令和5年度上期から8割以上の過去問使いまわしが始まっています。これに伴う合格率の上昇が見て取れます。
年度 | 満点 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 | 合格率 | 備 考 |
R5下期 | 100点 | 60点 | 60点 | 60点 | 60点 | 21.2% | |
R5上期 | 100点 | 60点 | 60点 | 60点 | 60点 | 16.6% | CBT開始※ |
R4下期 | 100点 | 60点 | 60点 | 60点 | 60点 | 15.7% | |
R4上期 | 100点 | 60点 | 60点 | 55点 | 54点 | 8.3% | |
R3 | 100点 | 60点 | 60点 | 60点 | 60点 | 11.5% | |
R2 | 100点 | 60点 | 60点 | 60点 | 60点 | 9.8% | |
R1 | 100点 | 55点 | 60点 | 60点 | 49点 | 9.3% | |
H30 | 100点 | 55点 | 55点 | 55点 | 51点 | 9.1% | |
H29 | 100点 | 55点 | 55点 | 55点 | 55点 | 8.1% | |
H28 | 100点 | 55点 | 55点 | 55点 | 54点 | 8.5% | |
H27 | 100点 | 55点 | 55点 | 55点 | 55点 | 8.5% | |
H26 | 100点 | 54.38点 | 58点 | 54.39点 | 58点 | 8.4% | |
H25 | 100点 | 57.73点 | 56.32点 | 54.57点 | 58点 | 8.7% | |
H24 | 100点 | 55点 | 55点 | 50.56点 | 51.35点 | 5.9% | |
H23 | 100点 | 52.44点 | 55点 | 55点 | 54.2点 | 5.5% |
年度 | 満点 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 | 備 考 |
H22 | 100点 | 55.00点 | 52.75点 | 47.65点 | 55.00点 | |
H21 | 100点 | 53.90点 | 55.00点 | 49.17点 | 55.00点 | |
H20 | 100点 | 60点 | 60点 | 55点 | 60点 | |
H19 | 100点 | 55点 | 55点 | 55点 | 55点 | |
H18 | 100点 | 60点 | 60点 | 55点 | 57点 | H18年度より「点」表現に変更 |
H17 | 100% | 49.55% | 55.00% | 47.23% | 55.00% | |
H16 | 100% | 60.00% | 60.00% | 52.60% | 57.58% |
【電験3種】科目別の合格基準点と合格率
年度毎の各科目別の合格率と合格基準点について考察します。
大きな目安として合格率20%程度になるような難しい年は基準点を55点に下げているように見えます。一方で比較的難易度の低い年(合格率が高い年)でも60点を超えることはありません。
年2回になった令和4年度上期までは例年相当の難易度に見えますが、令和4年下期以降は全科目60点以上の合格基準点に対して、合格率は概ね20~25%と高め推移しており、過去問の使いまわしが始まったということも含めて相対的に難易度が下がっていると言えます。
この傾向がいつまで続くか分かりませんが、有資格者数の減少傾向に伴い当面は続くのではないかと予想されます。いわゆる今は受験にチャンスが増えている時期と想定されます。
理論科目
年 度 | 期別 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
令和5年度 | 下期 | 17,307 | 5,690 | 32.9% | 60点/100点 | |
令和5年度 | 上期 | 20,994 | 5,588 | 26.6% | 60点/100点 | CBT開始 |
令和4年度 | 下期 | 20,712 | 5,102 | 24.6% | 60点/100点 | |
令和4年度 | 上期 | 28,427 | 6,554 | 23.1% | 60点/100点 | 年2回開始 |
令和3年度 | - | 29,263 | 3,030 | 10.4% | 60点/100点 | |
令和2年度 | - | 31,936 | 7,867 | 24.6% | 60点/100点 | |
令和元年度 | - | 33,939 | 6,239 | 18.4% | 55点/100点 | |
平成30年度 | - | 33,749 | 4,998 | 14.8% | 55点/100点 |
電力科目
年 度 | 期別 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
令和5年度 | 下期 | 15,894 | 5,375 | 33.8% | 60点/100点 | |
令和5年度 | 上期 | 18,411 | 4,685 | 25.4% | 60点/100点 | CBT開始 |
令和4年度 | 下期 | 16984 | 3,540 | 20.8% | 60点/100点 | |
令和4年度 | 上期 | 23,215 | 5,610 | 24.2% | 60点/100点 | 年2回開始 |
令和3年度 | - | 29,295 | 9,561 | 32.6% | 60点/100点 | |
令和2年度 | - | 29,424 | 5,200 | 17.7% | 60点/100点 | |
令和元年度 | - | 30,920 | 5,646 | 18.3% | 60点/100点 | |
平成30年度 | - | 35,351 | 8,876 | 25.1% | 55点/100点 |
機械科目
年 度 | 科目 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
令和5年度 | 下期 | 16,741 | 5,079 | 30.3% | 60点/100点 | |
令和5年度 | 上期 | 19,024 | 4,673 | 24.6% | 60点/100点 | CBT開始 |
令和4年度 | 下期 | 20,433 | 5,807 | 28.4% | 60点/100点 | |
令和4年度 | 上期 | 24,184 | 2,727 | 11.3% | 55点/100点 | 年2回開始 |
令和3年度 | - | 27,923 | 6,365 | 22.8% | 60点/100点 | |
令和2年度 | - | 26,636 | 3,039 | 11.4% | 60点/100点 | |
令和元年度 | - | 29,975 | 7,989 | 26.7% | 60点/100点 | |
平成30年度 | - | 30,656 | 5,991 | 19.5% | 55点/100点 |
法規科目
年 度 | 科目 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
令和5年度 | 下期 | 17,153 | 5,494 | 32.0% | 60点/100点 | |
令和5年度 | 上期 | 20,489 | 5,899 | 28.8% | 60点/100点 | CBT開始 |
令和4年度 | 下期 | 19,346 | 3,566 | 18.4% | 60点/100点 | |
令和4年度 | 上期 | 23,752 | 3,499 | 14.7% | 54点/100点 | 年2回開始 |
令和3年度 | - | 28,045 | 6,761 | 24.1% | 60点/100点 | |
令和2年度 | - | 30,828 | 6,573 | 21.3% | 60点/100点 | |
令和元年度 | - | 33,079 | 5,858 | 17.7% | 49点/100点 | |
平成30年度 | - | 33,594 | 4,495 | 13.4% | 55点/100点 |
令和5年度上期からの過去問使いまわし開始に伴い、合格率がどんどん上がっています。
合格点の端数について
電験3種は”5点きざみ”の配点なの対し、54.38点などの細かい点数についてです。
↓過去にこんなことがありました↓
こういうことがあるので端数があるのかもしれませんが、この公表があったH21年度の3種の法規科目は55点が合格基準点であり、よくわからない部分のが正直なところです。
過去の受験者数の推移
ここへは過去の受験者数と合格者数の推移を示します。引用元は一般財団法人 電気技術者試験センターの発表値です。年2回になってからは1回あたりの受験者数は減っていますが総数では1年あたり約7~8万人の受験になっています。
※令和5年度上期以降はCBT方式採用に伴い、下段に()書きでCBT受験者を記載しています。
【注】CBT受験者数は再掲のため、上段は総受験者数です。
(令和5年度上期については、総受験者28,168人、筆記方式:23,845人、CBT方式:4,323人)
西暦 | 年度 | 受験申込者 | 受験者※ (下段CBT) | 合格者 | 合格率 | 科目合格者 |
---|---|---|---|---|---|---|
2023 | 令和5年度下期 | 33,832 | 24,567 (5,771) | 5,211 | 21.2% | 8,761 |
2023 | 令和5年度上期 | 36,978 | 28,168 (4,323) | 4,683 | 16.6% | 9,252 |
2022 | 令和4年度下期 | 40,234 | 28,785 | 4,514 | 15.7% | 8,269 |
2022 | 令和4年度上期 | 45,695 | 33,786 | 2,793 | 8.3% | 9,930 |
2021 | 令和3年度 | 53,685 | 37,765 | 4,357 | 11.5% | 12,278 |
2020 | 令和2年度 | 55,406 | 39,010 | 3,836 | 9.8% | 11,686 |
2019 | 令和元年度 | 59,234 | 41,543 | 3,879 | 9.3% | 13,318 |
2018 | 平成30年度 | 61,941 | 42,976 | 3,918 | 9.1% | 12,335 |
2017 | 平成29年度 | 64,974 | 45,720 | 3,698 | 8.1% | 12,176 |
2016 | 平成28年度 | 66,896 | 46,552 | 3,980 | 8.5% | 13,457 |
2015 | 平成27年度 | 63,694 | 45,311 | 3,502 | 7.7% | 13,389 |
2014 | 平成26年度 | 68,756 | 48,681 | 4,102 | 8.4% | 14,625 |
2013 | 平成25年度 | 69,128 | 49,575 | 4,311 | 8.7% | 12,381 |
2012 | 平成24年度 | 68,484 | 49,452 | 2,895 | 5.9% | 14,741 |
2011 | 平成23年度 | 67,844 | 48,864 | 2,674 | 5.5% | 13,245 |
2010 | 平成22年度 | 68,471 | 50,794 | 3,639 | 7.2% | 14,240 |
2009 | 平成21年度 | 64,259 | 47,593 | 4,558 | 9.6% | 17,140 |
2008 | 平成20年度 | 54,509 | 40,140 | 4,361 | 10.9% | 15,350 |
2007 | 平成19年度 | 55,234 | 40,608 | 3,647 | 9.0% | 11,939 |
2006 | 平成18年度 | 54,611 | 41,133 | 4,416 | 10.7% | 12,858 |
2005 | 平成17年度 | 56,676 | 42,390 | 4,831 | 11.4% | 16,423 |
2004 | 平成16年度 | 59,919 | 44,661 | 3,851 | 8.6% | 15,140 |
2003 | 平成15年度 | 67,966 | 51,480 | 5,336 | 10.4% | 15,583 |
2002 | 平成14年度 | 66,867 | 53,804 | 4,364 | 8.1% | 15,477 |
2001 | 平成13年度 | 65,604 | 53,446 | 6,490 | 12.1% | 21,761 |
2000 | 平成12年度 | 67,354 | 55,767 | 6,703 | 12.0% | 17,068 |
1999 | 平成11年度 | 63,594 | 52,358 | 6,238 | 11.9% | 24,622 |
1998 | 平成10年度 | 65,836 | 54,386 | 5,804 | 10.7% | 18,203 |
1997 | 平成9年度 | 70,362 | 59,025 | 7,982 | 13.5% | 18,403 |
1996 | 平成8年度 | 62,759 | 51,895 | 8,646 | 16.7% | 26,976 |
1995 | 平成7年度 | 50,597 | 39,077 | 4,160 | 10.6% | 23,970 |
1994 | 平成6年度 | 39,037 | 28,548 | 3,903 | 13.7% | – |
1993 | 平成5年度 | 33,557 | 24,323 | 3,490 | 14.3% | – |
1992 | 平成4年度 | 31,825 | 23,021 | 3,334 | 14.5% | – |
1991 | 平成3年度 | 28,221 | 20,565 | 3,195 | 15.5% | – |
1990 | 平成2年度 | 28,414 | 20,609 | 2,548 | 12.4% | – |
1989 | 平成元年度 | 28,029 | 21,269 | 2,371 | 11.1% | – |
1988 | 昭和63年度 | 32,419 | 22,312 | 2,778 | 12.5% | – |
1987 | 昭和62年度 | 32,528 | 22,248 | 2,232 | 10.0% | – |
1986 | 昭和61年度 | 28,896 | 20,584 | 2,201 | 10.7% | – |
1985 | 昭和60年度 | 27,601 | 20,788 | 2,343 | 11.3% | – |
試験センタープレス資料について
ここへ記載している合格基準点に関するプレス資料は以下のようなものを基に表に直しています。本プレス資料の発行元は一般財団法人 電気技術者試験センターです。
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