電気工事士試験(1種・2種)の技能(実技)試験は「技能試験はどんな試験?」で書いたとおり、(机上で)工具を使い、実作業を行います。よって、技能試験対策(受験準備)は、多くの事前練習が必要です。独学で学習を進めるにあたって、どのような準備(何が必要?)し、どのような対策をすればよいのか解説します。
独学での技能試験の受験対策(試験勉強)に必要なものは。
技能試験は、工具を持参し配布された材料を机上で組み合わせて作業を行い一つの作品を組みあげる試験です。従って、その作品を作れるようになるために練習をしなくてはいけません。
技能試験に向けた練習をするためには物理的には3つの準備物が必要となります。
「工具一式」「電線」「部品(以後器具と言う)」
これらを揃えてしっかり練習をして試験に臨む事になります。
当然ですが、これらの学習をするための教材も必要となります。
受験対策に必要な準備物
電線類
(第2種に出題される電線を例に挙げます)
主には次に示すような形態の電線を使います。VVFやEM-EEF(VVFのエコケーブルと呼ばれるもの)は外装があるもの。外装の無いものがIV線です。第2種電気工事士に出題される電線は大体ホームセンターで入手可能です。第1種電気工事士の電線はホームセンターでは入手困難なものもあります。
器具類
(第2種に出題される器具類を例に挙げます)
ホームセンターにいけば簡単に手に入るようなものから、インターネットや電材屋さんでしか入手できないものまであります。今の時代はインターネットで入手するのが主流となっています。他にも出題材料はありますが、主には以下のようなものになります。第2種電気工事士に出題される材料もホームセンターで全部揃えるのは難しいと思います。1種は猶更です。
令和6年度であれば次のような材料セットを入手することになります。
どんなものを探せばよいのか具体的には次の記事に示しています。
工具類
電気工事士試験では、電動工具以外のすべての工具を使用することができます。
指定工具
「電動以外」だけでは何を集めてよいかわからないのですが、電気技術者試験センターの電気工事士の受験案内に「最低限必要と考えらえるもの」として
指定工具
として指定されている工具の記載があります(第1種・第2種とも同じ)
ペンチ、ドライバ(プラス、マイナス)、ナイフ、スケール、ウォータポンププライヤ、
リングスリーブ用圧着工具(JIS C 9711:1982・1990・1997 適合品)
平成14年以前はこの工具しか使ってはいけませんでした。現代でも試験内容は大きく変わっていないため、「最低これだけあれば試験は最後まで対応可能」です。
指定工具以外の工具類
指定工具以外は電動でなければ何を持参しても構いません。指定工具以外で必ず持参した方がよいと言えるのは、電線被覆を剥ぎ取る「ストリッパ」になります。
また、「工具以外」にも例えば腰袋やタオルなど、様々なものがあります。これらについては次の記事にまとめてあります。
工具類については、
指定工具をベースに状況に合わせてカスタマイズしていく
ということになると思います。色々な情報を参考に、ご自身で徐々に揃えてみてください。
投資対効果で考えて、私は次の工具セットをおすすめしています。
工具類に必要な仕様については、次の記事に詳しくまとめています。
教材(参考書・問題集)
工具類や練習材料と言った物理的な準備と共に、教材が必要です。
電気工事士の技能(実技)試験には
この2つが必要です。
知識面
知識を得るため、参考書や過去問題集を一般的に使用しますが、電気工事士の技能試験においては
過去問題集は不要
です。
技能試験は、電気技術者試験センターが事前に問題を公表します。
公表された問題に対応できればよく、過去問題を勉強する必要はありません。
「○○年度候補問題に対応」というような記述のある参考書であれば該当年度の問題に対応しています。
平成18年度から技能試験の出題形式が変更になり、出題候補問題が先に公表されるようになりました。このため、過去問の研究という必要はあまり必要なくなり、公表候補問題のマスターが合格への近道となりました。
電気工事は候補問題の練習が必須のため、毎年その年対応版の次のような技能試験の参考書が必須です。
詳しくは次の記事に書いています。
技術面
技術面については練習あるのみです。教材としては「動画」が最適です。動画については、参考書についていたり、技能練習セットについていたり、youtubeでもたくさん無料で見ることができますのでこれらを見ながらひたすら手を動かすことになります。
独学での技能(実技)試験の学習法
地道に1~2か月毎日ペンチを握る作業を繰り返すのみとなります。
【ステップ①】
最初の1~2週間は知識を得るため、DVDや参考書を見ながらの学習。
参考書を見ながら個々のパーツの取り扱いや工具の取り扱いを学ぶ。
手を動かしてみると、本では分からない細かい所作を動画(youtubeやDVD等)で確認してまた実践してみる。
【ステップ②】
個々のパーツや工具の取り扱いが分かったら、あとはひたすら単位問題(試験で完成させる作品)を作り上げる練習の繰り返し。
時間を測り(もちろん複線図から)制限時間内にできるか確認です。
【ステップ③】
時間が不足するようであれば、練習量を増やすか便利工具を追加するかしながら時間内に終わるように技術を磨いていきます。
ちょっと地味ですが、技能試験は短絡的な学習(一夜漬けのような)はできず、練習量がものをいいますので、地道にここへ書いたようなことに取り組んでください。
CBTを活用した技能試験準備に早く取り掛かれる方法
上記の通りなるべくたくさんの練習をすることが好ましい技能試験対策です。
いつから正式に技能試験対策に取り組む(工具や材料を手に入れるか?)かというと
学科試験の合格を決めた時
になります。学科で「CBT方式」を活用することで技能の学習期間を長くとる工夫ができます。詳しくは次の記事にまとめていますので確認ください。
(補足)技能試験の候補問題公表について
初めに書いたように、技能試験は問題が事前に公表され、その中から出題されます。よって、大昔のように全種類の器具類を入手して練習する必要はなくなっています。また、過去問題の練習をする必要もありません。
候補問題は毎年1回公表されています。
練習材料セットのようなものがない時代には、公表候補問題を見て何がいるか判断していましたが、今は試験年度に合わせた材料セットが販売されているので、インターネット等で購入することで容易には揃うようになりました。受験者は難しいことを調べずとも簡単に準備できるようになりました。
第1種電気工事士 候補問題の例
第2種電気工事士 候補問題の例
試験で完成させる作品例
試験で作り上げる正解作品例を掲載します。1種の方が回路の難易度は高いのですが、作り上げる作品という意味ではまったく違うということはなくて、結構似ています。1種は、高圧部分端子台に電線をつなぐ程度で、低圧部分は結局は2種と同じです。1種は高圧受電設備の知識部分は難しいですが、要求される実技試験の技術レベルはほぼ同じです。
【引用元】電気技術者試験センター 令和5年公表問題 試験の解答
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