試験の受験にあたり、技能(実技)試験がある場合は敬遠しがちです。電気工事士の試験の存在を知ったとしても技能試験があるために受験を躊躇するかもしれません。
この記事では技能(実技)試験がどのような試験なのか説明します。技能試験は1種も2種も試験実施方法は同じです。試験内容(出題される問題)が異なるだけです。
試験の実施方法
学校の学習机に着席して、机上で配線作業をします。
具体的には、実際に工具を使って電気のパーツと電線を組み合わせて作業をするのですが、本格的に壁に配線するような工事を一人でやり遂げるとかいうようなものではありません。
大掛かりなものではなく、実際の回路の縮小版を作るといった感じです。自宅での練習が十分可能な作業内容となります。
初心者でも合格できますか
上記試験方法のため、普段から電気工事関係の仕事に携わってないと合格できないような事はまったくなく、素人の高校生でも合格実績があります(私もそうです)ので安心してください。
練習次第でどなたでも合格できる試験だと思います。
今は世の中に情報はあふれていますし、youtubeなどで対策動画もたくさんあります。
初学者でも独学で必ず合格できます。
技能試験の内容
試験は先に述べたように、学習机に着席して机上で作業します。工具のみ持参します。本番では試験問題として下図左のような図面が配布されます(本物は注意事項や施工条件が記載されている)。
配布材料・図面の確認
下図右のような材料が箱に入った状態で配られます。監督員の指示で箱を開けて自ら材料の過不足・不良がないか確認します。
試験は監督員の合図とともに開始され、全員が一斉にスタートします。会場は普通の教室で、机についたても何もないので、周りの様子は丸見えです。
自分の作品も隣の人の作品も丸見えです。自分の作業が遅れてるか進んでるか周りの状況と比べることである程度判断できます。(直接見なくても、状況は感じられます。明らかに遅れを感じた場合は加速した方がよいです)。
複線図作図
配布図面は「単線図」と言われるざっくりした配線図です。これを実際に結線する「複線図」に直していきます。簡単な絵で流れを説明します。
これを「複線図」に直していきます。ざっくりした手順は次のとおり。
- 電源(白:W 黒:B)・スイッチ・負荷・接続部(ジョイントボックスなど)を記載
- 配線を記載
①白から負荷へ ②黒からスイッチへ ③負荷とスイッチ - 接続箇所にグリグリをつける(接続箇所の確認)
- 配線色を書き込む。
複線図【手順1】電源・スイッチ・負荷・接続部を記載
まずはパーツだけ書き入れます。
複線図【手順2】配線を記載
①白から負荷へ ②黒からスイッチへ ③負荷とスイッチ
この手順はとっても大切です。間違えると一発アウト(どの手順もそうですが)です。
白線や黒線の使い分けについては次の記事に紹介があります。
複線図【手順3】接続箇所にグリグリをつける(接続箇所の確認)
接続箇所にグリグリをつけて、図面上電線同士をつなぐ場所を明らかにします。
複線図【手順4】配線色を書き込む。
最後に電線色を書いていきます。色の付け方は次のとおり。
- 電源線(白・黒)と直接つながっている箇所に電源線と同じ色をつける
- 電源につながらない(器具同士)の配線にはケーブルの余った色をつける
電線の寸法取り・切断
配線図ができたら、これに合わせて電線の長さを決めて切断します。配布された電線が足りなくならないように、どこに何芯のケーブルを使うかよく確認して切断します。
試験では単線図と共に上図のように寸法が示されます。この図を基に複線図を書いて電線を切り分けていきます。
この複線図により、2芯のケーブルが7本必要となることが分かり、配布電線を7本に切り分けます。長さは問題文に示されたものを基準に決めていきます。
ちなみに電線の長さは、器具の真ん中から真ん中(器具同士の距離)を表しています。
この距離+電線接続に必要な長さを考慮して切断します。
電線接続に必要な長さの目安は次のとおり。
接続の種類 | 長さ |
---|---|
埋込み式コンセント・スイッチ パイロットランプ・引掛けローゼット | 5cm |
露出型コンセント・スイッチ ランプレセプタクル | 6cm |
リングスリーブ | 8cm |
この長さを参考に、各ケーブル長を算出します。
配布電線は多少余裕があることが多く、自分で算出した長さを確認しながら電線を切り分けていきます。
被覆のストリップ(剥ぎ取り)
電線を切り分けたのちは、電線の被覆剥ぎ取りになります。時短テクニックですが、工具に寸法を書いておくと便利です。最近(令和6年現在)は、寸法が書かれた工具も売っています。
被覆剥ぎ取りはもちろんのこと、電線切断でもすごく役立ちます。
剥ぎ取り長さについて
前述したとおり接続に必要として確保した長さの被覆を剥ぎ取ります。この剥ぎ取り長さについてもいちいちスケールを使うと遅くなるので工具や体の長さで測ります。
自分の体の長さも覚えておくととても便利です。体で測る場合もよく練習しておきましょう。
今は電線剥ぎ取りはとても便利な道具がでていますし使ってよいです。ナイフやペンチだけでも対応は可能です。
電線接続
最後に、電線同士や器具に電線を取り付けていきます。接続が終わったら最後に見た目をきれいに整えます。
完成品のイメージ
作業時間は45~60分ありその間早く終わっても退出などできません。時間内に完成しなかったら不合格となります。上に書いたような作業をこの時間で終わらせる必要があります。
最終的にこのようなものを完成させます。使う器具は本物ですが電線の長さは短く、壁に配線するような事もありません。工事のミニチュア版を作り上げます。
早く終わっても退出できない(退出する余裕もない)。ので、最後は自分の作品を点検し、きれいに整えます(曲がった電線を伸ばす等)。
採点は一つずつ作品をチェックされますのですこしでもきれいに結線してある作品の方が印象はいいのではないかと思います。
最終的にまわりにちらばったごみ(電線被覆とか)もをい集めてきれいにしておけば、なお良しではと思います。それは余程時間が余った場合で、試験中は全力で完成をめざしてください。
試験センター公式 正解作品例
令和5年度第2種電気工事士下期技能試験(候補No.8)の公式解答例を載せます。
引用元:電気技術者試験センターホームページ【試験問題・解答】
受験上のアドバイス
本番は相当緊張します。舞い上がって思わぬミスをした!なんて事のないように自分を落ち着けてください。試験時間は、若干の余裕がある程度です。開始後はとにかく落ち着いてゆっくりと確実に複線図を書いてください。これを間違えると実技をいくら完璧にしても不合格です。
「複線図は間違いない」と確信してから実技にとりかかってください。また、周囲の様子が見えますので自分が遅れていると感じるとこれまた焦りますが、焦りは電線を傷つけたりと施工不良を招きやすいのでとにかく落ち着いて下さい。
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