ウッドブリッジ変圧器(ウッドブリッジ結線)とは

日本国内の電気鉄道に用いられる3相から単相を取り出すことのできる「ウッドブリッジ結線」についての記事です。

ウッドブリッジ結線の話

皆様こんにちは 今回の御題は「ウッドブリッジ結線」です。
ウッドブリッジ結線?何それですねぇ~・・・全く解りません。毎度の事ですが胡散臭い解説を作りました。

平成 鹿年 骨月 吉日
貧電工付属さいたまドズニーランド大学 学長 鹿の骨記

ウッドブリッジ結線は三相から単相2組を取り出す結線で用途はスコット結線と似ています。主に電気鉄道に用いられ結線は下記のようになります。

ウッドブリッジ結線とスコット結線を示しました。
スコット結線は別に解説が有りますのでそちらをご覧下さい。
このウッドブリッジ結線を見てナルホド!と直ぐに解る人はこの解説を読む必要が有りません。
小生を含め多くの人が「何コレ?」と思ったハズです。さぁ一緒に勉強しましょう。骨流インチキ臭い講座の始まりはじまりぃ~・・・とは言うものの何が何だか訳がワカランぞこれは・・・

下記のように三次巻線を持つ単相変圧器を3基用意します。二次巻線と三次巻線は同じ巻数同じ容量です。
●は極性を表します。

この単相変圧器3基を下図の様に結線します。
●の極性をよく見て下さい。

一次側及び二次側の電圧ベクトル図を書くと下図になります。

何か間が抜けたベクトル図ですが、こんな感じになります。
さてこの変圧器に負荷をつないで見ましょう。

負荷を繋ぐ前に電圧と電流の定義をしておきます。
下図のように負荷P[VA]を二次側に繋ぎます。

二次電圧E2(ドット)は二次コイル一つ分の電圧です。二次電流I2(ドット)はこの電圧で負荷P[VA]に電流を流した時の電流です。この時の一次電流をI1(ドット)とします。

一次電圧E1(ドット)は相電圧です。線間電圧ではありませんので注意して下さい。
E1×I1=E2×I2=Pです。
次の様に接続する場合も有ります。

この図では二次コイル2組を並列使用していますが負荷がP[VA]で同じですから負荷電流I2は変わりません。二次コイルには負荷電流I2(ドット)が1/2ずつ分流することになりますが、この場合でも一次電流は図6と同じになります。

さてこの変圧器の二次側に下図のように負荷を接続します。
この場合どのような電流になるのでしょうか?

イキナリ解析しないでまずは下記で考えます。簡単な普通のY-△の場合です。

上記に示すような電流分布になります。

二次側の赤いコイルに二次電流の全量が流れそうに思えますが実際は 2/3:1/3 の割合で分流します。
一次側もやはり 2/3:1/3 の割合で分流します。

一見二次側の電流は赤いコイルだけを通過しそうに見えますがそうではありません。何故この様な事になるのかは巻末に記載が有ります。

次に二次側を下図のように結線します。

この場合は図に示すように二次側の電流は分流します。一次側は、図9と全く同じ電流になります。図6と図7で一次側の電流が変わらないのと同じ理屈です。

下図はその説明図です?

ベクトル図を書いてみましょう。一次側を先に解析します。

今度はもう片方に負荷を繋ぎます。

この時のベクトル図はこうなります。

この時、負荷電流I2’(ドット)は下図のように分流し、赤い巻線及びピンクの巻線には電流が流れません。又一次側もやはり赤い巻線には電流が流れません。

この電流関係のベクトル図を描いてみましょう。

一次側の電流と電圧のベクトル図は下図のようになります。

ここで一次側の電流全て書き出して見ます。
図12+図13+図14+図18+図19です。

Ir(ドット)、Is(ドット)、It(ドット) は各々下記の計算式となりベクトル図は図示のようになります。

もう少し解析を行います。
実はこのままではこの変圧器は使い物になりません。
図1と図4を再度掲載しますので違いを見て下さい。

暫く見ていると解りますが、図4では二次側の電圧が2種類有ります。E2 と√3E2 です。単相の電源が2組取れる事がこの結線の利点ですが(相変換変圧器と言う。)電圧が違っていたのでは困ります。

そこで、電圧の低い側に昇圧用の変圧器を設置して二次側の電圧が同じ電圧になるようにします。
この結線を「変形ウッドブリッジ結線」と言います。JRの新幹線で実用になっています。
下図に示します。

図1と図24を見比べると解りますが、「変形」が付かない「元祖」ウッドブリッジ結線は昇圧用の変圧器を結線の中に組み入れたものです。実機では写真1に示すように「変形」の方が用いられています。

多分此方の方が作りやすいのだと思います。(自信なし?)

(写真の出典)
鉄道総合技術研究所:https://www.rtri.or.jp/press/2007/20071221.html

取りあえず此処まで。

補習です。

何て事の無い普通の「理想変圧器(内部インピーダンス無視)」です。

ここで重要な事は変圧比がn:1 の場合、変流比が 1:nに必ずなると言う事です。一次側に I1[A]の電流が流れた時には必ず二次側にI1 のn倍の電流I2 が流れるという事です。

「一次側だけ流れて二次側には流れない」とか「二次側だけに流れて一次側には流れない」
と言う事はあり得ません。<==非常に重要!

仮に図9に於いて下記のように二次電流が流れたと仮定します。

この場合の一次電流を次ページで考えます。

一見正解の様に見えますが、実は大間違いです。一次側の電流 I1(ドット) はR点を通過してN点に至りますが、この先が有りません。

行き止まりになっています。 <==絶対におかしい!

これはマズイという事で下図のように考えます。

今度は正解だろう!と思われますが、これも大間違いです。
補図1の説明をもう一度良く読んで下さい。

この分流した一次電流に対応した二次電流が補図4には有りません。つまり一次側だけに電流が流れて二次側には流れないという事は有り得ないのです。ですから、電流分布は下図となります。(辻褄が合った電流が流れるという事です。)

オシマイ!

ウッドブリッジ結線の話【PDF版】

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