ここでは、私が実際に1級電気工事施工管理技術検定(2次試験:実地試験)に合格できた施工経験記述例を紹介します。初受検(技術検定なので”受検”)する場合は、この施工体験記述をどう書くかが結構重たいテーマです。
ここでは、令和5年度の受検で記載した施工経験記述の内容を紹介します。
なお、記載した工事は平成29年~30年の工事で、受検時からいうと5~6年前の工事になります。
試験時間がかなり余るので、書いた文章そのままメモして帰ってきたのでこの通りに書いて合格できた内容になります。
(参考)2級も参考にご覧ください。
【注意】令和6年度から変わります。
令和6年度の2次検定から見直しがありました。過去問だけ分析している方いたら要注意です。経験が必要なのはもちろんですが、記述は与えられた設定の工事に対して記載が必要となります。
管理人の実務経験
「変電設備工事」にあたる工事経験です。変電所の主機(110kV遮断器・断路器)の更新工事で据付・調整や電線張替の工事について施工監督としての立場で記載しました。
変電所において、主機(遮断器・断路器)の据付から設計・制御ケーブル布設や端末処理、停電切替、そして竣工検査までの一連を行うものです。これには資材の管理や工程管理に加えて安全管理・品質管理を行います。
試験準備
「安全管理」「工程管理」「品質管理」のいずれかのテーマのうち2テーマについて記述を求められます。さらに、この2テーマも内容がなんでもよいわけではなく、細かく絞られるケースがあります。
具体的には、
『安全管理』は「墜落災害」「飛来落下災害」「感電災害」
『品質管理』は「施工の計画から引き渡しまでの間」「施工終了から引き渡しまでの間」「機材の搬入日および保管時」
に絞って書くようになるので、それぞれの下書きが必要です。
また、2テーマについて1つずつ書くわけではなく、
2テーマのうち、片方のテーマについては、
「事項と理由を2つ」さらに「その対策・処置」を2つずつ
残りの1テーマについては、
「事項と理由を1つ」さらに「その対策・処置」を1つ
について記述する必要があります。
になります。例えば、墜落災害について気を付けたことを2つ、それに対してそれぞれ2個ずつの対策・処置の記載が必要となり「墜落災害」に対して4つの対策が必要になります。
どのパターンでもすぐ書けるよう下書きを準備し何度か書く練習をしておくのがよいと思います。ポイント(キーワード)は覚えておく必要があります。過去10年で出題されたパターンすべてに対応できるよう以下の内容はすべて下書きしました。
(私の準備した下書き)
・「工程管理」・・・留意した事項2つ、それぞれの対策を各2つ
・「品質管理」・・・「計画~引き渡しの間」の留意した事項1つ、対策を2つ
・「品質管理」・・・「機材の搬入時および保管時」に留意した事項2つ、対策を各2つずつ
・「品質管理」・・・「施工終了から引き渡しの間」に留意した事項2つ、対策を各2つずつ
・「安全管理」・・・「墜落災害」の留意した事項1つ、対策を2つ
・「安全管理」・・・「飛来落下災害」の留意した事項1つ、対策を2つ
・「安全管理」・・・「感電災害」の留意した事項2つ、対策を各2つずつ
1つのパターンあたり次の準備が必要です。結構大変です。
・留意した事項:20文字程度
・その理由:110文字程度
・対策:110文字程度×2つ
必ず下書きをしていってください。試験本番中に1から考えていては考えがまとまらないし、うまくキーワードが入れられないと思います。私の受けた令和5年度は過去初の「墜落災害」だけで2つの留意点、対策は各2つの合計4つが必要でした。
「墜落災害」だけのテーマでたくさん書かなくてはいけなくなると同じようなことばかり書いてしまったり、逆に簡潔に書けなくて欄に納まらないこともあります。
施工経験記述内容
前置きが長くなりましたが、令和5年度に管理人が受検した時の記述内容を記載します。その時のテーマは、「安全管理」(墜落災害)&(感電災害)についてでした。この時に記載した内容をそのまま掲載します。(一応これで合格もらいました)
経験した電気工事の概要
(1-1)経験した電気工事について、次の事項を記述しなさい。
(1)工 事 名:○○(変)110kV○○CBほか取替工事
(2)工事場所:○○県△△市■■ XXX-XXX(番地も記載、施設名は書いていない)
(3)電気工事の概要
(ア)請負金額(概略の額):○、○○○万円
(イ)概 要:120kVガス遮断器2台更新、120kV断路器3台更新
主回路電線(TAL660sq×2、27条400m)更新
制御ケーブル9,500m更新
(4)工 期:平成29年11月~平成30年3月
(5)この電気工事でのあなたの立場:工事立会者
(6)あなたが担当した業務の内容:発注者の立場での電気工事全体の施工監督
施工経験 その1(墜落災害)
(1-2)上記の電気工事の現場において、墜落災害が発生する危険性があると、あなたが予測した事項とその理由を2項目あげ、これらの労働災害を防止するために、あなたがとった対策を項目ごとに2つ具体的に記述しなさい。
ただし、対策の内容は重複しないこと。
なお、次のいずれか又は両方の記述については配点しない。
・保護帽の単なる着用のみの記述
・要求性能墜落制止用器具の単なる着用のみの記述
【予測した事項とその理由①】
高所作業車での主回路架線工事中の作業者の墜落災害
理由:110kV母線への架線は、長時間不安定なバケット内で重量のある電線上げ下ろしや不安定な姿勢での電線切断・接続が伴い、疲労や不注意による墜落災害が予想されるため。
【対策①】
高所作業車は安定した場所にアウトリガを最大限張り出して設置していること、始業前点検(操作装置、作業装置、制御装置)の実施と安全帯(当時の呼称を記載)、胴綱・補助胴綱の点検実施を確認してから作業着手を許可した。
【対策②】
バケット内の作業は2人1組とし、互いに補助しあうことで過度な負担がかからないようにすることや乗り出しの厳禁、無胴綱の厳禁を作業前ミーティングで周知徹底した。また自身も現場へ常駐し不安全行動をしないよう監視した。
【予測した事項とその理由②】
遮断器・断路器上部での調整試験や端子取付中の墜落災害
理由:機器上部は、高所(2m以上)で不安定な足場、複数人が作業することやブッシングやがいしに昇って作業すること、相間の移動時、無意識に無胴綱になる恐れがあるなどのため。
【対策①】
作業前に安全帯(当時の呼称)の着用・点検、本胴綱・補助胴綱の点検実施確認の上、着手を許可した。また、作業前ミーティングは無胴綱厳禁はもとより、特に相間の移動時は無胴綱となっていないことの確認徹底を指示し、自身でも監視した。
【対策②】
無意識に無胴綱で機器上部へ昇ったり相間を移動しないよう、専任監視員の配置や自分自身で不安全行動がないよう監視した。機器上では親綱を取付け、安全に移動できる状態とすること現場代理人に指示、自身も確認した。
施工経験 その2(感電災害)
(1ー3)上記(1-1)の電気工事の現場において、電気工事に従事する労働者の感電災害が発生する危険性があると予測した作業内容とその理由をあげ、あなたがとった対策を具体的に記述しなさい。
【作業内容とその理由】
高所作業車での110kV母線への主回路架線作業
理由:隣接回線は、同じ設備構成で充電中、母線は日によって停電範囲が変わり視認性の悪いバケット内では誤認の恐れがある。
【対策】
作業前に作業員全員への停電範囲、作業対象、特に充電部に近接する作業箇所の周知徹底や作業対象の検電、アース付け、充電側に対するロープ、危険旗等での危険区画標示付け、電気流入端機器の機械ロック、施錠を自身で確認、専任監視員の配置を現場代理人へ指示、自身でも監視した。
2022年1月以前の工事の安全帯の記載方法
本文の中ではさらっと書いているのですが、安全帯の規制に関する法律改正により、従来の安全帯は経過措置で2022年1月1日までしか使用できませんでした。この法改正前の電気工事に対する「安全帯」という単語の使い方をどのように書けばよいのか(そのまま安全帯という呼称を使ってよいのか)ネット上ではみつからず、不安な気持ちで本番は記述しました。
これに対して記事を整理していますので合わせて読んでみてください。
最後に
上に書いている文字数(小さめの文字)で書くところいっぱいでした。このくらいの文字数がMAXになりますので、それを意識して事前の下書きされるとよいと思います。
今回、墜落災害に対して2つの問題点と各2つの対策として合計4つの対策が必要でした。作業シーンは違うものの、似た対策になってしまって書きにくかったし、このパターンは準備していなかったのでちょっと大変でした。過去は「墜落災害」+「飛来落下災害」だったので、この組み合わせで準備していたので失敗でした。どうにかその場でそれなりにまとめて書けたとは思います。
いろんなパターンがあるので、準備と下書きが大変です。
当日まで何度か書いてみましたが、キーワードだけは覚えておかなければどんなこと書くんだったか忘れてしまったり、文字数がいい感じにならなかったりしました。
どうにか合格できてよかったです。
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