送電線の電圧降下、同期機の内部誘導起電力と端子電圧の関係や変圧器の電圧変動率、すべてこのベクトル図がベースとなります。この式の応用範囲はとても広く、電験の電力・機械・法規にも応用されています。ぜったいに理解しておきたいベクトル図になります。
電圧降下のベクトル図
皆様 こんにちは
今回のお題は「電圧降下のベクトル図」です。
配線の電圧降下計算は、実務でも結構やります。
この計算の基になるベクトル図をキチンと理解しましょう。
平成 鹿年 骨月 吉日
貧電工付属 さいたまドズニ-ランド大学 学長 鹿の骨
さて、下図は配線の電圧降下のベクトル図を描いたものです。
これを見て理解し、電圧降下の計算が出来る人==>この解説書(擬き?)を読む必要はありません。
これを見て理解出来ず、電圧降下の計算が出来ない人==>この解説書(擬き?)を辛抱強く最後まで読ん
でください。
さぁ、骨流半分インチキくさい解説の始まり始まり・・・。
早速ですが下図を見てください。
この回路図は、電源に定電圧の交流電圧電源、回路のインピーダンス無し、負荷は遅れ負荷としたものです。
電圧計が4つ、電流計が1つあります。
この回路図のベクトル図を描いて見ましょう。
ベクトル図の書き方のイロハから始めます。
まず、電源電圧のベクトル図を描きます。図2の様になります。
電圧計V1 の指示値は|Vs|の値が示されます。
(|○○|は○○の絶対値を表す数学の記号。)
次に、負荷インピーダンスのベクトル図を描きます。
「負荷インピーダンスのベクトル図」?と思うかもしれませんが、下記の結果を見ると納得できると思います。
此処まではそんなに難しい話ではありません。
此処までの話が難しくてワケガワカラン方は、申し訳ありません、もう少し勉強してからこの書き込みをお読
みください。
次にV1 及びV2 の値ですが、これは線路インピーダンスを無視していますから同じ値になります。
(これが解らなかったら、一回病院に行った方が良いと思うぞ。)
V2 は負荷の両端の電圧、V3 は抵抗の両端の電圧、V4 はコイルの両端の電圧です。
V3 及びV4 の事を「分圧(ブンアツと読む)」と言います。
電圧降下のベクトル図とはこの分圧のベクトル値をそれぞれ記載したものです。
早速計算して見ましょう。
まずは、抵抗の両端の電圧から行きます。
二つの図を合わせると次のようになります。
間違いではありませんが、紛らわしく一般的ではありません。この書き込みではこの書き方はしないことにします。
今度は図1の回路に線路インピーダンスを加えた回路を考えます。
この回路のベクトル図は下図になります。
考え方の基本は図1の回路にインピーダンスが無い場合と同じです。
負荷は変わらず遅れ力率の場合で描いています。
図12の内、配線の電圧降下計算に必要ないベクトルを削除すると、下図になります。
図0と同じものができあがりました。
図0では書かなかった角度が色々有ります。
(彩色や、線太さ等は若干違います。深い意味は有りません。)
さて、このベクトル図を元に配線の電圧降下計算を行います。
計算手法は色々有りますが、此処では最も一般的(と思われる)な方法で計算します。
この計算方法とは「値を幾何学的に求める。」と言うやり方です。
配線の電圧降下計算は図13上の|Vs|-|Vr|の計算が出来れば良いことになります。
つまり「電源側の電圧の絶対値-負荷側の電圧の絶対値」を知りたい訳です。
ベクトル図としては、Vs=IZ+Vr ですから、Vs-Vr=IZ
となり、計算により電圧降下のベクトル値IZが求まりますが、ここで勘違いしてはいけないことは、|IZ|を計算しても電圧降下値の計算をした事にはならないと言うことです。
配線の電圧降下は通常、「何ボルトですか?」と聞いてきます。
この値が解ると、電源側の電圧からこの「何ボルト」の値を単純引き算すれば、負荷側に届く実際の電圧が解ります。
IZをベクトル値で与えられても、この「何ボルト」の値を計算するのは相当に厄介です。
紙面の都合上(本当は面倒くさいから)この計算は省略します。
では実際に幾何学的に求めて見ましょう。
下図のように補助線を引きます。
図14の拡大図は下記のようになります。
図は用紙の都合で90度回転させています。
幾何学的に計算すると言っていますから、この式の元がベクトルであることは忘れてください。
まず簡単な方の「簡易計算」から行きます。
ACの長さを求めれば良いのですが、AC=AB+BCですから、ABの長さとBCの長さを各々計算して合算します。
従って
ACの長さ=△V=IRCOSθ+ILSINθ となります。
これは公式ですから是非覚えましょう。
全てスカラー式です。これで「何ボルト?」の「何」の部分の値が解ります。
尚、この値はCDの長さを無視した計算です。
通常の場合、この長さを無視しても計算結果は致命的に変わる訳ではありませんので、この式で充分実用になります。
今度は面倒くさい「精密式」です。
AD長さの内、ACの長さは上記の「簡易計算式」で求まりますが、問題は残りのCDの長さをどうやって求めるか、です。
どの様に補助線を引いても、この線分の長さを求める三角形にたどり着けません。
従って、ピタゴラスの定理を使って下記のような式を立てます。
大きな直角三角形OFCでピタゴラスの定理を立てます。
となりますが、実はこの式はこれ以上展開できません。
小生も、参考書、サイト等を色々探したのですが、これ以上の式はありませんでした。
ですから、上の「簡易計算式」が一般的に用いられます。
と言うことで、これにて本日の講義はオシマイ。
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