「回転磁界」とは、誘導機と同期機の固定子部分に用いられるもので、
磁極が「機械的には回っていない」けど「電気的には回っている」
状態を作り出すものと理解しています。「回転磁界」という言葉が電験では当たり前に出てきて、使われますが概念が理解できていなければ回転原理も分からないし、論説問題も意味がわかりません。交流回転機のベースをこの世で一番分かりやすく、概念が理解できる資料です。
必読です。
管理人も人に交流の回転機を説明するときには必ず使わせてもらっている資料です。ぜったい読んでもらいたい資料です。
回転磁界の話
皆様こんにちは
普段お世話になっている、誘導電動機ですが、今回はこの仕組みの話(の一部)です。
誘導電動機の中では「回転磁界」が出来ていますが、これがどうして出来るのかが、参考書を読んでも良く解りません。
小生のアタマが悪いのだ思いますが、参考書に書いてある説明では無く、別の考え方をすると理解することが出来ます。
回転磁界の原理が解ったところで、仕事に役に立つとは思えませんが、まぁ知らないより知っていた方が良い程度で御読み下さい。
又、下記解説の中には胡散臭い部分が沢山有ります。
騙されないように注意深くお読み下さい。
平成 鹿年 骨月 吉日
貧電工附属 サイタマ・ドズニーランド大学 学長 鹿の骨 記
回転磁界の概念図
早速ですが、下図を見て下さい。
これが、回転磁界の原理図(概念図)です。
赤い色と青い色がN極とS極を示します。
このままでは当然の話として、何の役にも立ちません。
馬蹄形磁石を手で回していたら、電動機にはなりません。
この馬蹄形磁石の代わりのものを電気的に作ります。
つまり回転磁界をどうやって作るかと言う話へ続きます。
次項へ続く。
回転磁界の作り方
今度は下図に示すような「電磁石」を用意します。
かなり変な格好をしていますので、ヨ~ク見て下さい。
取り敢えず直流電源を繋いで見ました。
緑矢印→は磁力線の流れを示し、赤い矢印→は電流の流れを示します。
この様に、空間を(一定の)磁力線が流れている事に両者の差は有りません。
従って、上記の電磁石を手で回せば、最初の馬蹄形磁石を回したことと同じ事になります。
でも、手で回したのでは意味がありませんのでこの位にして次に進みます。
今度はこの電磁石に交流電圧を加えて見ましょう。
電磁石の強さは流れる電流に比例します。(厳密にはこうはなりませんが、細かいことは無視。)
交流電源ですから、流れる電流の大きさ及び方向は変化します。
この変化に応じた磁力線の様子を見ましょう。
左のグラフはこの回路に流れる電流の変化を示したものです。
この様に電流が変化する場合右の電磁石の磁力線はどの様に変化するかを見ます。
電流がA点にある場合の磁力線の状態です。
電流値が0ですから、磁力線も0になります。
電流がC点にある場合の磁力線の状態です。
電流値が最大値になる点です。
電流値が最大値ですから、磁力線の強さも最大になります。
電流がD点にある場合の磁力線の状態です。
電流値が最大値を通過して半分になる点です。
電流値が最大値の半分ですから、磁力線の強さも半分になります。
電流がE点にある場合の磁力線の状態です。
電流値が0ですから、磁力線も0になります。
電流がF点にある場合の磁力線の状態です。
電流方向がA~Eと異なり、反対方向になります。
従って、磁力線の向きも反対になります。
電流値の大きさは反対向きの最大値の半分ですから、磁力線の強さも反対向きの半分になります。
電流がG点にある場合の磁力線の状態です。
電流値が反対方向の最大値になる点です。
電流値が反対方向の最大値ですから、磁力線の強さも反対方向の最大になります。
電流がH点にある場合の磁力線の状態です。
電流値の大きさは反対向きの最大値の半分ですから、磁力線の強さも反対向きの半分になります。
電流がI点にある場合の磁力線の状態です。
A点と同じです。磁力線は0になります。
今度は下図に示すように「電磁石」を3組用意します。
これを一つの電磁石としてまとめます。
下図のようになります。
図がゴチャゴチャしていますがヨーク見て下さい。
この回路に三相電源を加えます。各相の電流は下図のようになります。
各相をR相、S相、T相とします。
時刻t1のタイミングから検証を始めます。
グラフの値をよく見ると解りますが、RST各相の電流は次のようになっています。
R相:順方向の最大値
S相:逆方向の最大値の半分の値
T相:逆方向の最大値の半分の値。
従って、磁力線の分布は下記のようになります。
磁石の内部は省略しました。空間の部分に注目して下さい。
回転磁界の磁力線のベクトル和
と言うことで、磁力線のベクトル和の話です。
詳しいことは良く解らないのですが、磁力線も電流と同様にベクトルとして解析できます。
上記の図のようにベクトルを直行する2つのベクトルに分ける事が出来ます。
この原理を利用して前ページの空間の磁力線を解析します。
下図に空間部分のみを記載します。
前項の図をもう一度記載すると・・・。
従って
この磁力線の強さは、R相単独で出来る磁力線の1.5倍になっています。
今度は t2のタイミングです。
もう一度整理して時刻t1~t7までの結果を示すと下図のようになります。
回転磁界の原理
これが回転磁界の原理です。
つまり、
馬蹄形磁石に軸を付けてグルグル回すのと全く同じ結果を、
三相交流の電流とコイルで作り出すことが出来ます。
此処まで解ったところで、別の事を考えます。
二相交流(90度位相の単相×2)で回転磁界
「三相電源で回転磁界が出来ることは解った。他に方法は無いのか?」を考えます。
回答は「ある!!」になります。
「二相交流」という電源を使用すると、回転磁界を作る事が出来ます。
二相交流は普段はお目にかかりません。
どんなものかというと、一言で言えば、90度位相の単相×2です。
下図参照
この電源を使って、回転磁界が出来るかどうか検証しましょう。
下図の様に界磁巻線を巻いたものを用意します。
これに二相電源を繋ぎます。
この巻繊に下記のような電流を流した場合、果たして回転磁界は出来るのでしょうか?
下記のようなタイミングで検証します。
t1 のタイミングでは下図の様になります。
L1 相電流のみの磁力線の強さと同じものになります。
t2 のタイミングです。
t8 のタイミングです。
全部のタイミングを並べると下図になります。
この様に立派に回転磁界が出来ることが解ります。
この二相交流に依る回転磁界ですが、人類初の誘導電動機を発明したテスラーさんの誘導電動機は
この二相交流を電源としたものでした。
この方法は、皆さんご承知の通り、現在では主流になっていません。
さすがに天才テスラーさんでも、三相交流で回転磁界が出来ることが解らなかった様です。
意外な事実ですが、回転磁界を作る方法は二相交流による方法が先に出来て、後から改良型として
三相交流に依るものが出来ました。
単相誘導電動機の回転磁界
では、この二相交流に依る回転磁界は全く用いられないかというと、そうではありません。
単相電動機で回転磁界を得る方法として用いられています。
単相電源は、文字通り単相×1ですから、二相ではありません。
そこで、下図のようにコンデンサを設置して、擬似的に二相を得ています。
赤巻線に流れる電流はコンデンサの作用で、青巻線に流れる電流より進みます。
この場合、正確に90度位相になっている必要は無く、位相がずれていれば良い様です。
但し、トルクの乱れが生じるので、出来るだけ90度位相に近いものにします。
巻線の巻き方(分布巻・集中巻)
これで話は終わりではありません。まだあるよ・・・
電動機を分解してみると解るのですが、実際の巻線はこれまで説明してきた様な巻き方をしていません。
全然違う巻き方です。
実機の巻線の概念図を示します。
R相の部分のみを記載しました。
分布巻きは「全節巻」と「短節巻」に分かれます。
一般的には「短節巻」を用います。
これらに関する説明は日と場所を改めます。
一度に書くと、読む方も大変ですし、書く方はもっと大変です。
本日の講義はこれでおしまい。
くま取りコイル誘導電動機
下の写真は真愚さんが投稿されたものです。
くま取りコイル誘導電動機(単相誘導電動機の一種)の内、スケルトン型と呼ばれるタイプです。
赤い矢印の部分が「くま取りコイル」です。
この電動機を図に描くと下図のようになっているようです。
これでどうやって回転磁界又は回転磁界擬きが出来るの?
全くもってワケガワカラン。
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