電気技術者試験センターより2023年12月1日付で「令和6年度第三種電気主任技術者試験に係る問題作成方針」が公表されています。令和6年度の電験3種受験にあたってとても大切なことが多く書かれていますので、前年との差分の箇所も見ながら出題予測していきます。
問題作成方針の考察
まずは、全文を見て頂きます。前年の問題作成方針と並べてみます。これにより令和5年度出題分との違いも想像することができます。
なお、問題作成方針自体も大部分が令和5年度の使いまわしです(笑)
ここで言えることは、『「蓄電所」の知識があらたに必要になる』ということと、その他は令和5年度とまったく同じことが求められているということです。
ここで新しい「蓄電所」は『電力』科目のみに関わることが明らかとなっています。電力以外は令和5年度とまったく同じ出題範囲です。問題数(選択問題含む)は変更なしです。
ここはまったく変わっていませんが、トピックス的なことを書きます。①試験時間は変更なし。②60点以下の合格点調整があることがある。③過去問の使いまわしは令和6年度も続く。且つ、使いまわした問題は変更してくる可能性あり。
蓄電所以外には新しい表現はありませんが、近年の動向を踏まえた問題としては「再エネへの対応」「サイバーセキュリティ対策」が新設ジャンルとして出てくる可能性があります。新設ジャンルの出題数は少ないと思われます。理論は大昔と出題傾向は変わりません。
問題作成方針 考察まとめ
令和6年度の出題傾向は、令和5年度とほとんど同じことがよく分かります。よって特別な受験対策が必要であることは予想しにくい状況です。新ジャンルは「蓄電所」だけになります。出題されても電力科目に新規で1問ではないかと思いますので受験対策に及ぼす影響は僅少ではないかと思います。
また、引き続き、過去問使いまわしは続く見込みです。
令和5年度の新規問題の出題傾向
令和5年度と令和6年度の問題作成方針はほとんど同じです。よって、令和5年度の問題作成方針に基づいて令和5年度に出題された問題で過去問と「類題」でも「使いまわし」でもない完全新規の問題はどのようなものだったのかを確認することにします。
令和5年度の新規問題出題傾向を分析することで令和6年度の新規問題出題傾向を探ることができるのではないでしょうか。
令和5年度の過去問使いまわし実績は次の記事にあります。
理論科目
理論科目の新規問題はこれまでとまったく同じ出題範囲・傾向の問題で、従来の知識で問題なく対応可能な問題ばかりが新規問題で出題されました。
期別 | 新規問題No |
令和5年度上期 | 問7,問13,問16 |
令和5年度下期 | なし |
電力科目
電力科目の新規問題もこれまでとまったく同じ出題範囲・傾向の問題で、従来の知識で問題なく対応可能な問題ばかりが新規問題で出題されました。再生可能エネルギー関連が作られてもよさそうですがそうでもありませんでした。
期別 | 新規問題No |
令和5年度上期 | 問1,問4,問15,問17 |
令和5年度下期 | 問10 |
機械科目
機械科目の新規問題もこれまでとまったく同じ出題範囲・傾向の問題で、従来の知識で問題なく対応可能な問題ばかりが新規問題で出題されました。こちらもクリーンエネルギーや再生可能エネルギー関連が作られてもよさそうですがそうでもありませんでした。
期別 | 新規問題No |
令和5年度上期 | 問6,問12,問15,問17 |
令和5年度下期 | 問2,問4,問5 |
法規科目
法規科目の新規問題は「分散型電源の系統連係設備」に関する問題が新傾向の問題として1題出題されました。
期別 | 新規問題No |
令和5年度上期 | 問2,問10 |
令和5年度下期 | 問7 |
令和5年度新規問題の出題傾向まとめ
ここ数年の情勢変化に追従するような新しい話題の問題(再生可能エネルギーやサイバーセキュリティなど)の新規問題はほとんど見られず、20年~30年前と同じような内容のものばかりが新規問題で出題されました。特筆するようなあたらしい傾向は見られません。
令和6年度 出題予測まとめ
令和6年度の問題作成方針および令和5年度の新規問題を見てきました。これらを踏まえて、令和6年度の出題予測をしてみます。
新規問題はわずか。新傾向の問題は極少と予想。
引き続き高い過去問流用率が予想されます。
令和5年度の出題傾向を見る限り、上期より下期の過去問使いまわし率が上昇したうえで、過去問を一部改変した問題が増えました。令和5年度と令和6年度の問題作成方針はほとんど同じため、令和6年度も5年度と同様の出題傾向ではないかと考えます。このため、引き続き過去問題を中心に学習を進め、新規のジャンルに対してはあまり労力をかける必要はないと考えます。
おまけ 古い問題作成方針について
2023年11月よりホームページ作成を再開し、これまでの問題作成方針の変遷を知ることができていませんが、調べた限りは令和5年から公表されているのではないかと思います。
なお、問題作成方針は最新版しか公表されておらず古いものはリンクが消えていましたので見ることはできなくなっています。
参考に「電気技術者試験センター」のお知らせ一覧を比較してみます。令和6年の問題作成方針の公表に合わせて令和5年の問題作成方針は削除されていることが分かります。
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