電験1種2次試験 どのくらい書けば合格できるのか
管理人が平成22年度に合格できた「第1種電気主任技術者試験」の2次試験で実際に解答用紙に記載した内容を紹介します。間違えている箇所がけっこうあります。正解は公式解答であらためて確認をお願いします。
”この程度書ければいいのか” と思ってもらえると思います。
いまでも合格は奇跡的。よく書けたと思います。どの程度書けばよいのかの参考に見てみてください。字が汚くて恥ずかしいです。
2次試験の市販の過去問集や電気技術者試験センターの模範解答はボリュームが多く、模範解答のようには書けれませんが、合格できます。どの程度書いたかは比較的参考になると考えます。
自己採点と公式発表された合格基準点との比較も載せています。試験後に発表までの間の自己採点にも役立つのではないかと思います。
この記事には本物の試験問題に本当にその場で書いた内容をそのまま載せてみます。汚い字で申し訳ないです。 本番の解答用紙にしっかり書かないといけないので、メモできた量は少なめですが、自己採点のためみなさんも最低限は持ち帰りましょう。
焦りの中で問題文へ書いた内容、雰囲気も一緒に感じてもらえたらと思います。
〇電力・管理:6問中4問
〇機械・制御:4問中2問
の選択した問題について載せていきます。
電験1種2次試験 電力・管理科目 1問目
出典:平成22年度第一種電気主任技術者二次試験 電力・管理 問1
管理人の答案
- 転子を励磁していない状態で、回転子を回転させたとき回転子の残留磁気により、発電機の端子電圧が上昇する。その際に無負荷送電線など容量性の負荷が接続されていると進み電流が流れ、磁束が増加→端子電圧が上昇→進み電流が増加を繰り返す現象。
- (少し雑だけど)この絵をもう少し丁寧に書いて、「(1)の減少により徐々に発電機端子電圧が上がる」と記載。
- 容量の火力発電機 残留磁気が最も小さいから。円筒形で銅機械だから(だいぶ適当)
- 直列リアクトルを設けて、進み電流を抑制する。
全体的に詳しく書けなくて、ちょっと適当。(4)は1つしか書けなかったし違っている。
公式解答
- 回転している同期発電機に,無励磁のままで容量性負荷を接続した場合に 発生する現象をいう。
- 残留磁気による電圧が進み電流を生じさせ,この電流がさらに端子電圧を 高めて進み電流を増加させ,端子電圧はある極限値に達して安定する。 容量性負荷の静電容量を C とすれば負荷側から決まる電圧 v と電流 i の 関係は i=(2 p f C)・v であり,図に示すように直線(M1 :静電容量小,M2: 静電容量大)となり,最終的には無負荷飽和特性 N と直線 M1 あるいは M2 の 交点 m1(電圧 v1)あるいは m2(電圧 v2)に到達し安定する。
- 大容量の水力発電機である。
<理由>
発電機が自己励磁現象を起こすことなく送電線を充電できる最大充電容量 Q は次式より求められる。
Q=v^2/xd
ここで,v:充電電圧,xd:同期リアクタンス(不飽和値)
水力発電機の自己容量ベースの同期リアクタンスは火力発電機に比べて 小さく,また,容量が大きいほど系統からみた同期リアクタンスが小さく なる。そのため最大充電容量が大きくなり最も自己励磁現象を起こしにくい。 - ① 受電端に並列リアクトルを接続する。
送電線路の静電容量を補償し,進み電流による自己励磁を減少できる。
② 発電機を複数台,母線に接続する。
各発電機は容量と短絡比との積に比例して充電電流を分担するので安全に充電できる。(ただし,この場合,界磁電流が小さいため同期化力が 小さく並列運転に困難を伴う場合もある。)
電験1種2次試験 電力・管理科目 2問目
出典:平成22年度第一種電気主任技術者二次試験 電力・管理 問2
管理人の答案
- 電力用コンデンサ
進み無効電力を供給する系統用のコンデンサ。油入機器。一定容量のコンデンサを開閉器により系統に接続、切断を行う。段階的な無効電力の調整が可能。電圧を上昇させる効果がある。静止機のため、保守は容易。電力損失は少なめ。 - 同期調相機
無負荷の同期電動機。系統へ並列し、励磁電流を調整することで進みから遅れの無効電力を連続的に調整できる。回転機のため、保守に手間がかかる。回転子を回転させる必要があり、電力損失が一番大きい。 - 静止型SVC
サイリスタでコンデンサはスイッチングして入り切りできる。転流によりコイルへ流す電流は連続的に調整可能。フリッカ対策へも有利。
公式解答
- 電力用コンデンサ
- シンプルな静止機器で,高調波や突入電流を抑制するために直列リアクトルを接続することがある。
- 開閉器の開閉操作によって遅れ無効電力を発生(進み無効電力を補償)・停止する。
- 開閉器の開閉操作により調整するため,電圧や無効電力の変化が段階的となり,きめ細かな電圧調整や安定度の向上への期待はあまりできず,開閉器操作により系統に急激な変化が生じないよう1台当たりの容量選定に配慮が必要である。
- シンプルな構造であり,同期調相機やSVC よりも電力損失が小さい。
- 静止機器であるため保守が容易。
- 同期調相機
- 無負荷状態で運転する同期電動機。
- 界磁電流の調整により無効電力を発生・吸収(進み・遅れ双方を補償) する装置であり,電圧調整の即応性に優れる。
- 調整が連続的で,回転子の慣性質量により系統の電圧特性や安定度を向上させる効果がある。
- 回転機固有の軸受・ブラシの摩擦損や風損,励磁回路損などの影響により,電力用コンデンサやSVC に比べて電力損失が大きい。
- 回転機であることから,可動部分や補機類があり,電力用コンデンサやSVCに比べて保守に時間と労力が多くかかる。
- 静止型SVC
- リアクトル,電力用コンデンサ,これらを制御するサイリスタで構成する装置。
- サイリスタの点弧角位相を制御することによりリアクトルや電力用コンデンサの通過電流を連続的に変化させ,無効電力を発生・吸収(進み・遅れ双 方を補償)する装置であり,電圧調整の即応性に優れる。
- リアクトルや電力用コンデンサ電流の大きさを変化させることにより連続 的に調整できるため,系統の電圧特性や安定度を向上させる効果がある。 なお,電力用コンデンサの開閉を行う方式(TSC)では,リアクトル電流 の位相制御を行う方式(TCR)と組み合わせることで連続的な調整が可能である。
- リアクトル,電力用コンデンサ,サイリスタなど複数機器から構成される ため,電力損失は電力用コンデンサよりも大きいが,同期調相機よりも小さい。
- 静止機器ではあるが,サイリスタ冷却用の装置もあり,保守は電力用コンデンサほど容易ではない。
電験1種2次試験 電力・管理科目 3問目
出典:平成22年度第一種電気主任技術者二次試験 電力・管理 問3
管理人の答案
公式解答
電験1種2次試験 電力・管理科目 4問目
出典:平成22年度第一種電気主任技術者二次試験 電力・管理 問5
管理人の答案
- A:基に発電機出力
- B:調整容量が大きい
- C:自系統内の発電機
- D:系統定数
- E:未記入
- F:周波数変動(負荷変動)
公式解答
- A:零にするよう自系統の発電電力
- B:連系系統内の主要系統
- C:主要系統との連系線電力
- D:バイアス値
- E:和(差)を零にするよう自系統の発電電力
- F:自系統で生じた負荷変動(需給不均衡)
電験1種2次試験 電力・管理科目 採点結果
2次試験は、1問あたり30点の計120点
【電力・管理科目(自己採点)】
・1問目:35%⇒30×35%=10.5点
・2問目:60%⇒30×60%=18.0点
・3問目:90%⇒30×90%=27.0点
・4問目:33%⇒30×33%=10.0点
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合計=65.5点
電験1種2次試験 機械・制御科目 1問目
出典:平成22年度第一種電気主任技術者二次試験 機械・制御 問1
管理人の答案
- ①1相分の合計インピーダンスZを求める。
Z=40/√3(v) /22(A) =1.04972(Ω)
②3相入力は2次短絡中で、回路の抵抗損と等しい
3×I2×(r1+r2)=3相入力
(r1+r2)=620/(3×222)=0.426997Ω≒0.427Ω
③インピーダンスと抵抗よりリアクタンスを求める
√(1.049722-0.4269972)=0.95895Ω=0.959Ω - ①(ごめんなさい当時の解き方が不明。)
VL=√800fL - ①始動時=すべり1のため
22(A)×1.04973(Ω)=VL/√3 VL=40(v)
②(2)で求めた式より
VL=√800fL
40(v) =√800×fL fL=2(Hz)
2番と3番は結構適当。よく分からなかった。
公式解答
電験1種2次試験 機械・制御科目 2問目
出典:平成22年度第一種電気主任技術者二次試験 機械・制御 問2
管理人の答案
- 変圧器2台で1台あたりの定格電圧をVL,ILとすると
設備容量は2(台)×VL×IL
一方で3相V結線した時の出力は√3×VL×IL
よって、利用率は√3/2になる。 - (1)より、100(kVA)×2(台)×0.866(利用率)=173(kVA)
- 【長所】
・3相一括にすることで機器を小型化でき、設置場所がコンパクト
・鉄心が少なく、損失が小さくなる。
・設備容量100%まで使える。
・現地での組み立て時、変圧器間の結線は不要。
【短所】
・単相変圧器3台の場合は、1台事故時に事故変圧器を切り離し
V結線で運転継続できるが、3相一括変圧器では不可。
・機器運搬時(納入時)は単相変圧器の方が1台あたりがコンパクト
になるため3相一括は輸送に手間がかかる。
一応全部できたつもり。(1)は、0.866は覚えていたけど、どうしてだったか忘れてしまってその場で考えた。慌てていたので、余計焦ってしまったがいったん落ち着いて回路図を書いて考え直して説明できた。
公式解答
- 変圧器三相電力をP とすると,接続法に関係なく次式で計算される。
P×3×線間電圧×線電流 (1式とする)
単相変圧器2台を用いたV結線の場合には変圧器1台当たりの設備容量をP1φとすると相電流の代わりに線電流が流れるので,三相としての設備容量Pvは,次式で計算される。
Pv×2×P1φ=2×線間電圧×線電流(2式とする)
したがって,単相変圧器2 台を用いたV 結線の場合の利用率は
P/Pv =√3/2 =0.866 - 単相変圧器3台がデルタ結線での運転中,1台の単相変圧器が故障したのでこれを除いて残り2台でV結線に変更した場合,三相としての容量は次のようになる。
(a) 故障前デルタ結線での容量:
PA=√3×線間電圧×線電流=3×線間電圧×相電流(3式とする)
(b) 故障後V結線での容量:
PB=√3×線間電圧×線電流=√3×線間電圧×相電流(4式とする)
(V結線では線電流と相電流は等しいから)
したがって,故障後の容量は故障前に比べて
PB/PA = √3/3=0.57735 倍となる。
故障前の最大容量は3×100=300〔kV・A〕であるから故障後には
300×0.57735 = 173.21 → 173〔kV・A〕となる。
〔(2)の別解〕
4式を用いて,次のように計算してもよい。
√3×(単相変圧器容量)=√3×100=173.21(5式とする)
→173〔kV・A〕 - 長所及び短所の解答例
下記のような解答が,いずれか1項目ずつ記載されていればよい。
電験1種2次試験 機械・制御科目 採点結果
2次試験は、1問あたり30点の計60点
【機械・制御科目(自己採点)】
・1問目: 60%⇒30× 60%=18点
・2問目:100%⇒30×100%=30点
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合計=48点
電験1種2次試験 自己採点結果
総得点(予想)ではぎりぎり6割に達したような感じ。
自己採点は多少甘めの認識。
電験1種2種2次試験の合格基準について
電験1種2種の合格基準点は、電気主任技術者試験(電験)の合格基準点(合格点)と合格率へまとめてあります。
平成22年度の電験1種の合格基準点(公式)
電気技術者試験センターから公式に合格基準点が発表されています。(この132人の内の1人が私です)。この基準に照らせば、総得点が2科目合計108点以上(60%以上)、且つ平均点以上という 扱いです。
総得点はぎりぎりのラインでした。平均点はおそらく合格率をみても50%よりは下なのだと予想します。電気主任技術者試験(電験)の合格基準点(合格点)と合格率へも書いていますが、平成17年度の1種の平均点は、「電力・管理:30.78%」「機械・制御:50.32%」(2科目平均37.29%)だったようです。
各科目は、50%行っておけば御の字ではないかと考えます。
【平成22年度第一種電気主任技術者二次試験の結果】
第一種電気主任技術者二次試験の受験者は680 人で、受験率は93.0 %でした。 また、合格者数は132人で、合格率は19.4 %でした。
H23.2.7電気技術者試験センタープレス資料より引用
なお、合格基準点については、1 月28 日開催された第一種・第二種電気主任技術者試験委員会において、合格基準を100 点満点換算で60.0 点以上(実得点180 点満点で108 点以上)、かつ、各科目ともに平均点以上と決定されました。
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