私の感覚では難易度は電験2種より易しいことは確かです。エネルギー管理士よりも易しいです。電験3種より楽と感じます。
この試験は、「基礎」「適性」「専門」の3科目があり、それぞれの考察を書いてみたいと思います。ちなみに科目合格制度がありません。これも考慮に入れた上で各科目の難易度を考察します。
後に詳しく述べますが、本試験は選択問題が多く、尚且つ合格ラインが低め(50%)となっていることから出来が悪くても合格点に達してしまうという状況はあります。
なお、合格基準に関する考察は次に詳しく記載していますので確認ください。
さらには、問題自体のレベルはあまり高くなく与し易いと言えるでしょう。
なお、科目の内容は次のとおりです。
(1) 基礎科目として、科学技術全般にわたる基礎知識。
(2) 適性科目として、技術士法第4章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性。
(3) 専門科目として、受験者があらかじめ選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識。
基礎科目の難易度
「基礎」科目は、専門より鬼門でした。(私のような工業高校電気科卒には)
全体的に高卒には難しいと思います。大学や大学院出られた方は一度は見たことがあるような問題が多いのだと思います。私は、6年分の解き方調べるのに2週間くらいかかりました。
範囲が相当広く、全問の範囲を網羅的に勉強することは不可能だと思います。半分選択問題なので、自分にあったジャンルを選ぶ(とはいえ、1群丸々捨てるような選び方はできない)のがよいと思います。
基礎は、1群~5群まであります。
1群:設計・計画は、統計的な問題は論述も理解が難しいが一般論的なものもあります。計算もありますが練習すれば難易度はそれほど高くない。
2群:情報・論理は、情報工学部門と親和性がかなり高いです。電験にも情報がでてきますのでまったく知らない問題ではないです。セキュリティと2進数計算や2進数の扱いに慣れていれば対応しやすい。
3群:解析:微分積分がでてきます。微分積分を使う難しそうな書き方をした問題が多いですが、深く考えずに単純に解けばよい問題です。私も「問題の意味は分からないけど、問題は解ける」状態でした。電気の問題もほんの少しでます。電気回路的なものです。
4群:化学・バイオは、苦手な人がおおく、私も苦手です。が、繰り返し出る問題がたくさんあります。過去問をできれば6~8年分遡ってやっておくことをお勧めします。最悪、「答えを覚える」作戦も有効です。DNAやたんぱく質系の問題は同じ問題の並び順や少しいじった問題が多いです。化学は同位体の問題がよく出ます。
5群:エネルギー・環境は常識問題チックな問題が多いです。エネルギー使用量(再生可能エネルギー量等)もあります。最新の情報をチェックする必要があり、ちょっと取り組みにくいですが、1~4群に比べれば技術面より知識面の勝負なので少し楽かもしれないです。最後に出る歴史(出来事の古い順並び替え)は対応困難です、
適正科目の難易度
「適性」科目は、技術士としての適性を問う科目ですがほとんど勉強不要に感じます。倫理的な部分なで一般的常識で答えればOKな問題が多いです。
また、法令問題が出題されます。PL法や知的財産、労働安全衛生法にリスクアセスメントやパワハラ・セクハラが出題されます。令和に入ってからはSDGzが多く出題されています。
令和6年度は出題傾向が変わり、難しくなりました。無勉強では難しいです。令和6年度受験時、令和元年~5年度までは初見ですべて合格点取れたので油断していましたが、6年度はずいぶん難しくなっていました。過去問学習は令和6年度の傾向をよく見てとりくみましょう。
専門科目の難易度(電気電子)
本試験のメインである電気電子の内容の出る「専門科目」ですが、専門科目の問題自体が電験3種並の問題が多い印象です。フレミングの左手の法則の文章説明の穴埋めとか、ただ単に公式を答えればいいとか、通常のオームの法則で普通に解けてしまう問題もでます。(もちろん応用問題もあり、2種理論レベルの問題もあります)
この他に、情報・通信関係や電子の内容も出ますが少しかじっていれば解ける感じです。範囲は広いので、全範囲をまともに勉強すると大変ですが、問題集程度でも十分じゃないかと思います。
電験3種合格レベルの方ならば、電験+αで情報通信を学べば十分合格レベルに達すると感じます。
専門科目の難易度(情報工学)
サイトの趣旨とちょっと畑違いですが情報工学も受験歴があるため記載します。電験に通じる部分でもあります。学問より(開発者より)の出題が多いです。多少プログラム言語も出ます(PythonやC言語、JAVA)。基本情報か応用情報技術者レベルの午前レベルといいますが、私はその2つに加え情報処理安全確保支援士も持っていて苦戦しました。電気の時は楽に感じた専門ですがだいぶ大変でした。実務というより全体的に学問的な出題が多く、過去問も初見では分からない問題が多かったです。
過去問からの出題比率もそれほど多くはないし、多少変えて出題されることも多いので大変です。令和6年度受験時は平成29年~30年くらいの問題がまた出た感触でした。平成28年~令和4年まで勉強していたので対応はできましたがある程度広く勉強しておかないと対応できません。
情報処理安全確保支援士を持っていてもセキュリティの問題少ないので多くは稼げません。
まとめ
以上のことから、難易度は特別高くないように感じます。
なかには本当に難しい、マニアックな問題も出題されます。技術士ですから簡単に取れる資格でもないと思いますが、やり方次第で十分合格が拾えると思います。
「技術士1次」試験は、実務的なものよりも全体的に学問寄りの知識を問う問題が多いです。大学や大学院卒の方は違和感ないかもしれませんが、私のように工業高卒だと面喰う問題が多いのも事実です。
選択問題の多さと合格ラインの低さもあり通常の試験より楽な試験制度であることも特筆すべきです。
受験生の少ないこの試験ですが、受験してみる価値はあります。
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