令和6年度に情報工学部門の技術士1次試験に挑戦した体験記です。平成20年度に電気電子に合格してから約16年度ぶりの技術士1次試験受験です。電気電子の体験ではありませんが、基礎や適性科目対策は共通なので、新しい情報として参考になればと思います。
まだ合格発表前なので「受験体験記」です。もし不合格だったら来年続きをします。記憶が薄れるので先に書いておきます。合格ラインの点数は取れました。
関連資格の受験歴
技術士1次の情報工学部門の受験は43歳です。関係する資格試験試験の受験歴を参考に書きます。情報セキュリティアドミニストレータは現在の情報処理安全確保支援士だと思っています。同じ試験に落ち続けて2024年についに合格しました。
ここまでの資格を取って挑戦しなくてもいきなり受験で合格可能です。私はこの試験の存在に気づいていなかったので受験が遅くなりました。
西暦 | 和暦 | 試験 | 年齢 |
2004年 | 平成16年 | 初級シスアド | 22歳 |
2005年 | 平成17年 | 基本情報技術者 | 23歳 |
2006年 | 平成18年 | 情報セキュリティアドミニストレータ | 不合格 |
2008年 | 平成20年 | 技術士1次(電気電子) | 27歳 |
2018年 | 平成30年 | 情報セキュリティマネジメント | 36歳 |
2022年 | 令和4年 | 応用情報技術者 | 41歳 |
2023年 | 令和5年 | 情報処理安全確保支援士 | 不合格 |
2024年 | 令和6年 | 情報処理安全確保支援士 | 42歳 |
2024年 | 令和6年 | 技術士1次(情報工学) | 結果待ち中 |
試験準備編
技術士1次試験の科目は、
・基礎科目
・適性科目
・専門科目
この3科目があります。
基礎科目は、設計や情報関係、解析やバイオ・化学に技術関連の知識の内容です。
適性科目は、技術士に適しているかの倫理的と法律関係の問題ですが、学習に多くの時間を割く必要はないと思っています。
専門科目は、当然ですが情報関係の問題がでます。
ネット上の難易度としては「基本情報技術者」「応用情報技術者」の午前試験レベルとのことです。両方受かっているので大丈夫かな?という程度です。(応用の午前は大変だった記憶はある)
情報工学部門は、情報処理安全確保支援士を持っていれば「専門科目」は免除になります。が、同じ年に受ける(私のようなケース)だと支援士の発表が技術士1次申込締め切りの1~2週間後で免除申請が間に合いません。翌年受ければ私は専門科目免除になりますが敢えて受けました(笑)
しかも、セキュリティ関係の出題は極少なく支援士持っているから楽勝ということはまったくありませんでした。
学習スケジュールと予定
15年くらい経っていますが前回受けた時の印象と過去問を見た限り次の作戦(スケジュール)を立てて取り組むことととしました。
・専門科目:10月上旬~10月末まで
・基礎科目:11月1週~2週
・専門科目:11月3週
・試験日:11月24日
なお、近年の受験スタイルは「いきなり問題を解く」です。
まずは過去問題集を入手・・・のはずが、基礎や専門に電気電子の過去問は売っているのですが、なんと情報工学部門の過去問が売っていない。まじかー。
情報工学は受験者が1,000人くらいしかいないので、販売していない模様。電気電子がもう少し多いくらいだけど売ってるから情報もあると思ってた。ちょいピンチです。
幸い、専門科目は過去問を作って公開してくださっているサイト様があり、そちらで勉強させてもらいました。ありがたかったです!
専門科目(情報工学)
基本情報や応用情報の午前並とのことですが、応用情報受けて2年ですっかり忘れたのかあまり分かりません。得意のはずのセキュリティも出題が少ないです。一応、ネットワークとセキュリティがある程度得意という自負があるものの、出題が少なくそれほど得点を稼ぐことができません。
また、技術士試験ということで「開発者寄り」「学問寄り」な問題が多いと感じます。ちょっと苦手です。学習方法としては、
過去問を公式サイトからPDFでダウンロードしてipad(GoodNotesというアプリ使っています。超便利!)へ入れて、書き込みをし続ける。
前述のサイト様で簡単な解説がありますが、分からないことが多くいちいちなぜそうなのか調べてipadに書き込みしていく学習スタイルとします。1問にスゴク時間がかかります。
10月末までに過去問6回分を終えました。(大体解ける状態)
過去問とほぼ同じ問題もいくつか出ますが、比率はそれほど高くなく新問が多いのと1個1個調べると割と難しくて大変でした。間違い選択肢もなぜ違うのか調べたりしていたので余計大変でした。「2~3年やれば見たことがある問題がたくさん出る」という感じではなかったです。
結果的には、もう少し簡単に(割り切って覚えてしまうとか)でもよかったかもしれないです。範囲がかなり広いのですごく大変でした。
基礎科目
基礎科目も基本は次のとおりです。
過去問を公式サイトからPDFでダウンロードしてipad(GoodNotesというアプリ使っています。超便利!)へ入れて、書き込みをし続ける。
なお、基礎は次の過去問題を購入しましたがとてもよかったです。
この「らくらく突破」は、解説が割と丁寧なのに加えて、簡単に解ける方法を載せてくれている本です。解説者のセンスが良いです。知人で電気書院のものを持っている人の解説を読むと、よく言えば「正攻法」ですが難解な計算でやっているので私のような工業高卒には向きません。本書は、ざっくり「●●なので計算しなくても大丈夫」的な解説がいくつもあり、とても助かりました。技術士試験はそういう問題多いです。(概念を知っていれば解けてしまう)
基礎は1群~5群までありますが、2群の情報系は情報工学の専門科目と親和性が高く有利です(というか同じような問題)。1群は解析系でちょっと難しいのと簡単なのが出ます。3群は微分積分計算が定型的です。あとはフックの法則という応力の法則を使う問題がよく出ます。4群は化学やバイオ、DNAがさっぱり意味不明。5群はエネルギー関連の言葉の問題が多い。
(作戦)1群は解ける簡単なものを抑える。2群は全部解く。3群は微分積分はぜったい抑えて、あとはフックの法則など解けるものを選ぶ。4群はいくつかパターン化されているのがあるので1問正解を目標。5群は理解が難しいものは少なく法令に近い知識問題なのでなるべく得点を狙う。
一応これも11月1週~2週で過去問6回分を終えました。解説読んでも意味不明なものも多く、この科目を全範囲網羅するのは困難と判断し、無理なものは思い切ってパスしました。多分大学や大学院出た方なら結構簡単なのかもしれないです。私の場合はこういう基礎学力がないので大体1から調べるものが多く、2群以外は戸惑いました。
基礎科目が一番不安の残る科目です。(電気電子の時も同じ)
適性科目
前回の経験もあり、ちょっと甘くみてました。過去6回分をざーっと解いた感じ、初見でもほとんどが合格点を取れる(15点満点中10点~12点くらい取れる)状態でした。
ハラスメントや知的財産、安全関係、個人情報保護の問題は仕事でも一般的な研修等で学んでおり、SDGzやPL法の問題をいくつか見ておけば大丈夫そうな感じ。
完全にナメて初見で正解だった問題は見直しもせず、間違えた問題のみ2~3周回した程度です。
試験前々日
(今回、令和6年度受験しましたが、)令和5年度の問題は敢えてここまで見ておらず、実力と仕上がり確認で初見で模試的に解いてみました。
専門:15/25 基礎:11/15 専門:11/15
試験前々日の段階で専門がギリギリに近い(13問から合格)ことに焦りを。こんなに解けないものがあるとは。あと、基礎は余裕(8問から合格)が見えますが問題の当たり外れが大きく4群(化学・バイオのところ)がほとんど解けないのと5群もかなり怪しい状況のため、専門と4群・5群をレベルアップする作戦に。
試験前日
前々日の状況を踏まえ、試験前日(土曜日)のAMは基礎科目対策。平成29年度~令和5年度までの7回分の4群・5群をすべてやりました。やり方分からず飛ばした問題も含め全部やり、前日なので解けないのは覚える作戦。選択肢が若干変わって出ているものもあったので、同じような問題がでれば解けるように準備。いくつかは解ける問題も増えたので、良さそう。
試験前日(土曜日)のPMは専門科目対策。平成29年度を初見で解いてみる。なんとまた15/25。ちょっと悪い。ただ、この平成29年度から何問か令和5年度に出ている。そうか、この頃から取ってきてるのか、と思い、29年度も全問解けるか覚える作業。
加えて、この日は適性科目の初見で間違えた問題のみ見直し。(適性はナメている)
試験当日
早起きして、1時間前には会場入りしました。
当日は
専門:10:30-12:30
適性:13:30-14:30
基礎:15:00-16:00
です。専門に多少不安があったため、移動時間とついてからは全部専門科目対策に充てました。前日やった平成29年度固めと平成28年度にもトライです。意外と早く解けて、なんと平成28年度も全問おさえることに成功。結果、平成28年度~令和5年度までの9回分マスターです。ここまでやれれば十分な感じ。
<専門科目>
なんと、平成28年度・平成29年度で直前に解いた問題がいくつか出題。本当にやっておいてよかった。全体的に見たことある問題が多い。慌てなくても大丈夫そうなのでゆっくり落ち着いて取り組み。
ただ1つの注意点。
専門科目は35問中25問選択です。
(これのおかげで合格ライン的には楽。10問ダメでも満点とれる)
この試験、単純に35個マークできるマークシートが配られます。
26問答えると不合格になるのですが、マークシートでは何の対策もなく普通に26問以上答えてしまえる構造です。
予め問題を25問選んで解いて、数えてマークシートに塗り、マークシートで何度も確認するという手順にしました。試験は2時間もありたっぷり目なので、このくらいしても余裕です。
やり方的には、問題をどんどんやっていって最後にいくつ選べたか数えて不足分を戻って選んでいく感じ。1回やっただけでは25問は選べない(10問以上は不明な問題がある)と思います。
このあたりは前日模試的に解いたおかげで要領を掴んでいてよかったかも。がんばって取捨選択し、考えることすらができない10問をのけて残りを決めていく感じです。
最後の10分くらいは多く塗り間違いがないのか数える作業を何度もしました。
専門科目は大丈夫そうな手ごたえ。
<昼休み>
おにぎり持参でひたすら基礎復習。適性ナメてます。
<適性>
ナメていた適性科目。1問目=過去問と同じ=ますます油断
2問目以降???
出題方法が変わってます。虫食い問題も、選択肢で「使わないのはどれか」
こう出されると難しい。正しく判定できないといけない。そのほか、今まで定番的な聞かれ方だったSDGzの問題が、すごく細かい設問。PL法もめちゃくちゃ迷わしい問題。2択まで絞れるも確定できない問題も多め。
しまったー。もっと勉強しておかないといけなかった。同じ傾向だと誰が言った。誰も言ってない。
適性で落ちたら悔しすぎるー。過去問を「きちんと細かく」見てれば自信が持てた問題もいくつかありました。完全に勉強不足。
確証持てる設問はとても少なかったです。令和7年以降の受験者は、令和6年度の出題方法の見直し内容は飲み込んでおいた方がよいです。
<基礎>
一番警戒した科目。
前回の電気電子の時は8点でギリギリ(8/15点が合格最低ライン)だった。高卒の鬼門の科目。やるだけやった。どんとこい。
とりあえず問題全部みる。
1群:見たことある。分かる。3問行ける。
2群:1問は2進数、2問はネットワーク。3問行ける。
3群:ヤコビ行列。過去問と同じ。あとは見覚えがない。1問か。
4群:見たことあるのがたくさん。前日前々日にした29年度の問題も。
3つしか選べないけど4問行けそう。
5群:見たことあるの1問。1問か。
この時点で合格は確信。
あとはどんどん解く。1群、スラスラ・2群、スラスラ。3群もヤコビOKだけど時間かかるから後回し。バネの問題。最小の固有振動数のものを選ぶ問題。最小の固有振動数=ゆっくりゆれる=バネが大きく伸びるもの=コレ。計算全くせず見た目でチョイス(結果正解)。3群の合成抵抗の問題。む、わかんない。Y-Δ変換すればいいのか?どうやるんだっけ?電験1種が泣いている。こんな直流の合成抵抗が・・・。
4群。平成29年度~令和4年度全問展開作戦成功。分からず丸覚えした化学1問。あとは勉強した結晶の構造とDNA。OK。5群。ごみ処理量の計算。みたまんま。簡単。電気の再エネの比率。できないとヤバい。多分10%台。産業革命がどうとか。過去問と同じ。
多分、基礎科目最高のデキ。勉強がんばった甲斐あった。
試験中の気づき
特記事項:途中退室なし。ペットボトル持ち込みOK。
時間配分的には、
専門:めちゃ余る 適性:ちょうどいい 基礎:ちょっと不足
基礎は、計算面倒なやつは後回しにして最後にやらないと、1時間でマークシート塗って見直しまですると1問4分計算でちょっと忙しいです。
ペットボトルOKは何気に嬉しいけど、飲みすぎると途中退室もないしトイレ行きたくなるので控えめがおすすめ。
1日3科目は疲れる
年齢のせいもあるかもしれないけど、電験4科目一度に受験が疲れるのに近く、1日中頭使って受験するのはとても疲れます。一番元気な午前中に大物の専門をやってくれるのは助かりました。
試験結果
翌日解答が発表されたので採点してみると・・・
基礎科目:14/15
適性科目: 9/15
専門科目:19/25
でした。合格ライン到達です。適性はマジ怖かった。
基礎は間違えたのが直流回路の合成抵抗1問だけ。
電験1種免状が泣いている。
2026年2月の合格発表まで楽しみに通知を待ち中。
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