【第2種電気工事士】合格率と合格基準。60点未満でも合格?

電気工事士【第2種】

 第2種電気工事士試験における過去の合格率と合格基準点を紹介します。学科試験の合格基準点は、毎年60%ですが、一度だけ下げられたことがありました。

第2種電気工事士(学科・技能)合格率の推移

 電気技術者試験センターのプレリリース資料を基に合格率を計算した資料を計算します。

平成18年度~令和5年度下期 学科平均合格率:58.7%
平成18年度~令和5年度下期 技能平均合格率:66.4%

5割を超えていますので、決して低い合格率ではありません。
技能の至近の試験は何度も7割を超えています。
比較的合格しやすい試験と言えます。
(注)合格率:合格者数/受験者数(受験棄権者数は除いています)
(注)技能試験受験者には学科試験免除者が含まれます。

西暦実施年度期別(学科)
受験者
(学科)
合格者
(学科)
合格率
(技能)
受験者
(技能)
合格者
(技能)
合格率
備考
2024令和6年度上期70,13942,19460.2%まだまだまだ
2024令和6年度下期まだまだまだまだまだまだ
2023令和5年度上期70,41442,18759.9%49,54736,25073.2%CBT開始
2023令和5年度下期63,61137,46858.9%45,79031,49968.8%
2022令和4年度上期78,63445,73458.2%53,55839,77174.3%
2022令和4年度下期66,45435,44553.3%44,10131,11770.6%
2021令和3年度上期86,41852,17660.4%64,44347,84174.2%
2021令和3年度下期70,13540,46457.7%51,83336,84371.1%
2020令和2年度上期6,8844,66667.8%
2020令和2年度下期104,88365,11462.1%66,11348,20272.9%
2019令和元年度上期75,06653,02670.6%58,69939,58567.4%
2019令和元年度下期47,20027,59958.5%41,68025,93562.2%
2018平成30年度上期74,09142,82457.8%55,61238,58669.4%
2018平成30年度下期49,18825,49751.8%39,78625,79164.8%
2017平成29年度上期71,64643,72461.0%55,66039,70471.3%
2017平成29年度下期40,73322,65555.6%25,69616,28263.4%技能の判定
基準見直し
2016平成28年度上期74,73748,69765.2%62,50846,31774.1%
2016平成28年度下期39,79118,45346.4%22,29715,89971.3%
2015平成27年度上期79,00249,34062.5%60,65043,54771.8%
2015平成27年度下期39,44720,36451.6%23,42215,89467.9%
2014平成26年度上期79,32349,31262.2%62,91947,44775.4%
2014平成26年度下期26,20512,96049.5%14,96210,30468.9%
2013平成25年度上期83,74652,75863.0%66,97552,33978.1%
2013平成25年度下期25,81815,63060.5%17,20611,66167.8%
2012平成24年度上期78,06045,39258.2%60,96143,74871.8%
2012平成24年度下期21,66512,64458.4%14,2449,33465.5%
2011平成23年度上期76,27749,60965.0%63,43743,89369.2%
2011平成23年度下期18,79810,37055.2%11,8588,44871.2%
2010平成22年度98,60058,93559.8%79,78954,27768.0%
2009平成21年度94,77063,62067.1%79,66055,79370.0%
2008平成20年度79,34543,23754.5%57,97038,76866.9%
2007平成19年度73,29542,78658.4%55,50738,07868.6%
2006平成18年度68,33238,89756.9%62,41146,48674.5%技能問題
事前公表
2005平成17年度68,84943,99063.9%62,33628,85646.3%
2004平成16年度74,51744,74060.0%62,07434,84656.1%
2003平成15年度71,88241,28757.4%61,22835,59258.1%
2002平成14年度75,16046,37061.7%62,50135,67457.1%
2001平成13年度66,92439,13258.5%63,44741,11564.8%
2000平成12年度76,21948,37163.5%78,94439,50150.0%
1999平成11年度76,72044,67658.2%67,21522,52433.5%
1998平成10年度77,05441,46553.8%61,73532,82353.2%
※ 学科試験中止(新型コロナウイルス感染症拡大防止のため)

学科試験免除者の技能試験合格率

 平成18年度から平成22年度までは学科試験免除者と学科試験合格者に分かれて技能試験が実施されおりその時のデータがあります。

西暦実施年度(免除者)
受験者
(免除者)
合格者
(免除者)
合格率
(合格者)
受験者
(合格者)
合格者
(合格者)
合格率
2010平成22年度20,77811,18353.8%59,01143,09473.0%
2009平成21年度16,40711,78771.8%63,25344,00669.6%
2008平成20年度14,5648,48358.2%43,40630,28569.8%
2007平成19年度12,5247,15957.2%42,98330,91971.9%
2006平成18年度22,01416,17873.5%40,39730,30875.0%
(注) 免除者:学科試験免除者 合格者:学科試験合格者

 予想と逆のデータです。

学科試験免除者=前回の技能試験不合格者(経験者)+資格等での免除者です。

技能試験経験者が多く含まれる「学科試験免除者」の方が合格率が高くなって然るべきなのですが、なぜか学科試験合格者(ほとんどが技能試験初受験)の方が全体的に合格率が高いです。

これは私も理由の想像がつきません。

が、初めてでも多くの人が合格できるバックデータにはなりました。

平成18年度以降に技能試験の合格率が高くなった訳

 平成18年度以降、技能試験の候補問題が事前公表されるようになりました。これに伴い、技能試験の合格率は一気に上がっています。候補問題の公表制度が如何に合格率したかよく分かります。

 平成18年度以降も若干試験制度は変更をしていますが、大きく傾向は変わりません。

平成29年度の技能試験の判定基準見直し

 詳しくは後述しますが、平成29年度より技能試験の判定基準が「作品に欠陥がないこと」に見直しされました。従来より厳しい判定基準となり70%台が多かった合格率が60%台の合格率にシフトして見えます。

考察

  • 年度や上期・下期での合格率の差はあまりなく、平均的に同程度の難易度の問題になっていることが伺えます。
  • 受験者数は年1回の頃は年間7万人程度、年2回になって以降の年間受験者数は増加傾向で、至近の令和5年度は年間13.3万人が受験しています。
  • 年2回開催に変更後、しばらくは下期試験が受験者数が少ない時代が続きましたが、近年は上期・下期ともに同程度の受験者数となっています。
  • 技術者不足による試験機会の拡大を受けて、年間合格者数は年7~8万人。今後の人材不足の背景から試験の難化の可能性は低く、当面この状態が続きそう。

至近の試験制度見直し(受験機会拡大)

 合格率を見る上では、背景(試験制度の変化)も合わせてみることが大切です。大きな見直し2点(技能問題の事前公表や判定基準の変更)は合格率に影響しています。

 至近では「電気工事業界の担い手不足を懸念」している状況にあり、当面は試験合格者を増やすような取り組みが続くものと思います。これは受験機会の拡大を目的としてもので合格率に大きく影響はしていません。が、こうした背景から当面同じようなレベルの試験が続くことは予想できます。

 以下は、「電気保安制度ワーキンググループ 第15回(2024年3月19日開催)」に掲載されていた資料の抜粋です。

引用元:電気保安制度ワーキンググループ 第15回(2024年3月19日開催)電気保安人材等に関する制度の合理化についてP19

合格基準点(学科・技能)

 第2種電気工事士試験の合格基準点は次のとおり公表されています。

引用元:令和6年度第二種電気工事士試験(国家試験)上期受験案内
西暦実施年度期別学科試験技能試験
2024令和6年度上期60点以上まだ
2024令和6年度下期まだまだ
2023令和5年度上期60点以上欠陥がないこと
2023令和5年度下期60点以上欠陥がないこと
2022令和4年度上期60点以上欠陥がないこと
2022令和4年度下期60点以上欠陥がないこと
2021令和3年度上期60点以上欠陥がないこと
2021令和3年度下期60点以上欠陥がないこと
2020令和2年度上期欠陥がないこと
2020令和2年度下期60点以上欠陥がないこと
2019令和元年度上期60点以上欠陥がないこと
2019令和元年度下期60点以上欠陥がないこと
2018平成30年度上期60点以上欠陥がないこと
2018平成30年度下期60点以上欠陥がないこと
2017平成29年度上期60点以上欠陥がないこと
2017平成29年度下期60点以上欠陥がないこと
2016平成28年度上期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2016平成28年度下期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2015平成27年度上期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2015平成27年度下期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2014平成26年度上期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2014平成26年度下期56点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2013平成25年度上期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2013平成25年度下期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2012平成24年度上期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2012平成24年度下期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2011平成23年度上期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
2011平成23年度下期60点以上重欠陥無/軽欠陥2以下
※電気的に致命的な欠陥又は施工上重大な欠陥がなく、かつ、施工上軽微な欠陥が2以内

学科試験の合格基準点が引き下げられたことがある

 確認できた範囲では、過去に1度だけ学科試験の合格基準が変わっています。

平成26年度下期試験で56点だったことがある。

当時の合格率は、過去最低の49.5%の時でした。
どうにか50%に持ってこようとして調整したのではないかと思います。

確か(記憶では)昔(私が受験した平成10年度でも)60%が合格基準だったと思っています。

引用元:電気技術者試験センタープレリリース資料

 

今後も学科試験の合格基準点は引き下げられることがある?

 現在はCBT方式も採用されてきているので60%からの変更はしない(できない)のではないかと思われます。

令和5年度下期では「第二種電気工事士試験委員会において決定した合格基準(60点以上)」という表現が残っていますので、毎回検討しているように読み取れます。

【2024年4月4日記載】電気技術者試験センターへ問い合わせたところ、以前は得点調整があったが、今回からは「60点固定(CBT方式・筆記方式ともに)」ということを教えてもらいました。また、調整があった時代は64点などになったこともあったらしい。

引用元:電気技術者試験センタープレリリース資料

技能試験の合格基準について

今の合格基準は、受験案内にあるとおり「作品に欠陥がないこと」です。

平成28年度以前は「電気的に致命的な欠陥又は施工上重大な欠陥がなく、かつ、施工上軽微な欠陥が2以内」という形で、欠陥に区分がありました。この区分は「重欠陥」「軽欠陥」と言っていました。

古い資料はホームページにそういう表現が残って(私の第1種電気工事士の体験記にも出てきます)いれば、このことを指しています。

従来の軽欠陥が撤廃されて、「欠陥が1つでもあれば不合格」になったので、厳しい方向での見直しになっています。

例:レセプタクルへねじ止めで接続する箇所の電線の巻きが、左巻きは軽欠陥でした。現在は「欠陥」と扱われ一発NGになった。

平成29年度以降は合格率が70%切っている年が増えています。この見直しは合格率を下げる方向に作用しているのは間違いありません。

(平成28年度以前の合格基準)

引用元:電気技術者試験センタープレリリース資料

(令和5年度下期試験)

引用元:電気技術者試験センタープレリリース資料

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